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2024.06.02

パリ代表・前田穂南が2度目の五輪へ決意「しっかりと集中して準備したい。すごく楽しみな気持ち」
パリ代表・前田穂南が2度目の五輪へ決意「しっかりと集中して準備したい。すごく楽しみな気持ち」

パリ五輪女子マラソン代表の前田穂南(天満屋)

パリ五輪女子マラソン代表の前田穂南(天満屋)の記者会見が、岡山陸協主催で6月1日に岡山市内のホテルで行われた。

山口衛里監督、武冨豊専任コーチとともに壇上で集まったメディアの質問に応じた前田は、「これからアメリカで集中して練習をやっていくことになるので、しっかりと準備して走りたい、という思いがあります。すごく楽しみな気持ちです」と語った。

午前中の公開練習で、米国ニューメキシコ州アルバカーキでの本格的なマラソン練習を前にした現状を「徐々に継続して練習ができている状態なので、レースに向けてピークに持っていくにはいい流れになっていると思います」と語っていた前田。広島でのクロカンコースを使った合宿では、30km走を3本こなしており、「そのたびに記録も伸びていますし、記録の対しての対応力も脚もできています」と武冨監督が補足する。このあと、広島で再度の合宿を行ったあと、渡米する予定だ。

代表内定後に行った本番コースの視察では、「上り下りがすごいと聞いていたけど、実際にコースを見た時に予想以上に起伏が大きかった」と感じ、前田は「しっかりと継続して練習に取り組み、起伏を使ったコースを取り入れていきたい」と最終段階に入る準備のポイントを挙げた。

天満屋としては2大会連続6度目の女子マラソン五輪挑戦で、前田はチーム初の同種目連続出場となる。その最初の選手だったのが2000年シドニー大会7位入賞の山口監督で、「初めての五輪で、私自身としては国内レースと同じような感覚で取り組んでいたつもりですが、現地に入って雰囲気を味わうと緊張や不安がありました」と当時の心境を明かす。

ただ、「スタートしたらどんなレースになるかわからなかったので、自分自身を信じて積極的なレースをしました」とも。前田については前回の東京大会を経験していることで、「国内と海外で環境は違えど、(五輪という)大会の雰囲気はたぶん同じ」と心配はしていない。本番に向けては「日本新記録(2時間18分59秒)を出した今年1月の大阪の時のように、ワクワクした状態でスタートラインに立てればおもしろいかなと思っています」と期待を寄せる。

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3月末付で監督を山口氏に譲り、専任コーチとして前田の指導に当たる武冨氏も、「経験」を強調する。

「1回目の時には私自身もすごく緊張したし、山口監督も近寄れないぐらいに緊張していました。でも、5回経験させていただいて、冷静に五輪を見られるようになりました。そういう意味では、1回目の大会よりは、前田自身がすごく楽しみにできるような心境になってくれていると思います。私としても1回目よりも2回目と考えていたので、楽しむ気持ちで、スタートラインに向かってくれれば」

3年前の東京五輪では、MGC圧勝で日本のエースという立ち位置で迎えたが、コロナ禍で大会が1年延期になった影響などから万全の状態で臨めず、33位という結果に。その後も、「(2023年3月の)名古屋でMGC出場権を獲得するまで、故障が多かったり、体調を崩したりがすごく多かった。気持ち的にもすごく苦しかっただろうし、走れない悔しさがあったでしょう」と山口監督。

だが、それを乗り越えたことで「もともと気持ちの強い選手ですが、それまで以上に競技に対するエネルギーが高くなったような気がします」。武冨コーチもそれに同意し、「余分なものを抱えるというkとをしなくなったのが一番。それによって心にゆとりが持てるようになりました」と前田の成長に目を細める。

アルバカーキ合宿では、「日本記録を出した大阪の前の練習を参考に、それを追うのではなく、パリに向けた起伏の強いコースに合わせた練習ができればと思っています」と武冨監督。これまでの経験を総動員しながらも、「今の前田の状況を常に考えながら」アップデートしていく構えだ。

前田がパリ五輪で目指すのは、「自分のパフォーマンスが最大限発揮できるように、いい状態になってスタートラインに立ちたい」ということ。世界のトップランナーたちとの真剣勝負を「すごく楽しみ」と心待ちにしている。

パリ五輪女子マラソン代表の前田穂南(天満屋)の記者会見が、岡山陸協主催で6月1日に岡山市内のホテルで行われた。 山口衛里監督、武冨豊専任コーチとともに壇上で集まったメディアの質問に応じた前田は、「これからアメリカで集中して練習をやっていくことになるので、しっかりと準備して走りたい、という思いがあります。すごく楽しみな気持ちです」と語った。 午前中の公開練習で、米国ニューメキシコ州アルバカーキでの本格的なマラソン練習を前にした現状を「徐々に継続して練習ができている状態なので、レースに向けてピークに持っていくにはいい流れになっていると思います」と語っていた前田。広島でのクロカンコースを使った合宿では、30km走を3本こなしており、「そのたびに記録も伸びていますし、記録の対しての対応力も脚もできています」と武冨監督が補足する。このあと、広島で再度の合宿を行ったあと、渡米する予定だ。 代表内定後に行った本番コースの視察では、「上り下りがすごいと聞いていたけど、実際にコースを見た時に予想以上に起伏が大きかった」と感じ、前田は「しっかりと継続して練習に取り組み、起伏を使ったコースを取り入れていきたい」と最終段階に入る準備のポイントを挙げた。 天満屋としては2大会連続6度目の女子マラソン五輪挑戦で、前田はチーム初の同種目連続出場となる。その最初の選手だったのが2000年シドニー大会7位入賞の山口監督で、「初めての五輪で、私自身としては国内レースと同じような感覚で取り組んでいたつもりですが、現地に入って雰囲気を味わうと緊張や不安がありました」と当時の心境を明かす。 ただ、「スタートしたらどんなレースになるかわからなかったので、自分自身を信じて積極的なレースをしました」とも。前田については前回の東京大会を経験していることで、「国内と海外で環境は違えど、(五輪という)大会の雰囲気はたぶん同じ」と心配はしていない。本番に向けては「日本新記録(2時間18分59秒)を出した今年1月の大阪の時のように、ワクワクした状態でスタートラインに立てればおもしろいかなと思っています」と期待を寄せる。 3月末付で監督を山口氏に譲り、専任コーチとして前田の指導に当たる武冨氏も、「経験」を強調する。 「1回目の時には私自身もすごく緊張したし、山口監督も近寄れないぐらいに緊張していました。でも、5回経験させていただいて、冷静に五輪を見られるようになりました。そういう意味では、1回目の大会よりは、前田自身がすごく楽しみにできるような心境になってくれていると思います。私としても1回目よりも2回目と考えていたので、楽しむ気持ちで、スタートラインに向かってくれれば」 3年前の東京五輪では、MGC圧勝で日本のエースという立ち位置で迎えたが、コロナ禍で大会が1年延期になった影響などから万全の状態で臨めず、33位という結果に。その後も、「(2023年3月の)名古屋でMGC出場権を獲得するまで、故障が多かったり、体調を崩したりがすごく多かった。気持ち的にもすごく苦しかっただろうし、走れない悔しさがあったでしょう」と山口監督。 だが、それを乗り越えたことで「もともと気持ちの強い選手ですが、それまで以上に競技に対するエネルギーが高くなったような気がします」。武冨コーチもそれに同意し、「余分なものを抱えるというkとをしなくなったのが一番。それによって心にゆとりが持てるようになりました」と前田の成長に目を細める。 アルバカーキ合宿では、「日本記録を出した大阪の前の練習を参考に、それを追うのではなく、パリに向けた起伏の強いコースに合わせた練習ができればと思っています」と武冨監督。これまでの経験を総動員しながらも、「今の前田の状況を常に考えながら」アップデートしていく構えだ。 前田がパリ五輪で目指すのは、「自分のパフォーマンスが最大限発揮できるように、いい状態になってスタートラインに立ちたい」ということ。世界のトップランナーたちとの真剣勝負を「すごく楽しみ」と心待ちにしている。

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