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2024.01.04

青学大「負けてたまるか」貫いた攻めの姿勢 12月のアクシデントも乗り越え大会新V/箱根駅伝
青学大「負けてたまるか」貫いた攻めの姿勢 12月のアクシデントも乗り越え大会新V/箱根駅伝

第100回箱根駅伝を制した青学大

◇第100回箱根駅伝(東京・大手町←→神奈川・箱根町/10区間217.1km)

第100回箱根駅伝が行われ、往路を5時間18分13秒の往路新記録で制した青学大が、復路も5時間23分12秒で優勝し、98回大会(22年)に同校が樹立した大会記録を2分17秒も更新する10時間41分25秒をマーク。2年ぶり7度目の王座奪還を“完全優勝”で成し遂げた。

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往路優勝後に、原晋監督が「伝統的に復路は強い」と自信を見せたとおり、先頭を走る青学大は今回も強かった。往路優勝からの逃げ切りは、過去6度の優勝の内、実に5回を数える必勝パターン。

今回は2分38秒差で追いかける駒大が、箱根経験者の4年生3人を7~9区に配置したのに対し、青学大は12月29日の区間エントリー時点で8区に入っていた田中悠登(3年)が当日変更で外れたことで、復路は箱根経験者ゼロだった。それでも、選手層の厚いチームで出走を勝ち取った5人は、もれなく力強い走りを披露する。

6区の野村昭夢(3年)が区間歴代9位となる58分14秒で山を駆け下ると、7区の山内健登(4年)も1時間2分46秒の好タイムで区間3位。この時点で駒大との差を芦ノ湖のスタートから2分以上拡大した。

さらに8区の塩出翔太が(2年)が区間歴代3位の1時間4分00秒での快走で区間賞を獲得。続く倉本玄太(4年)も1時間8分51秒で区間賞だった。2人は原監督の母校である広島・世羅高の先輩・後輩コンビ。ここで“ダメ押し”。最後は宇田川瞬矢(2年)が区間2位の走りでヴィクトリーロードを疾走。東京・大手町のフィニッシュで待つチームメイトの歓喜の輪に飛び込んだ。

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復路の選手は、そろって前の走者までが良い流れを作ったことに感謝しつつ、自らも“攻め”の走りをしたことを強調。野村と山内が「後ろとの差をさらに広げようと思った」と口をそろえれば、塩出、倉本、宇田川は大量リードの状況でも、それぞれの区間で区間記録への挑戦。

最初で最後の学生三大駅伝出場を果たした倉本は、「リードを広げてもらっていたので、自分も攻めていこうと思った」とOBの中村唯翔(現・SGホールディングス)が2年前にマークした同区の区間記録(1時間7分15秒)に果敢に挑むなど、どんなに後続と差を広げても、決してその走りを緩めることはなかった。

終わってみれば、1区の荒巻朋熙(2年)が先頭の駒大と35秒差に抑えると、2区以降は9人全員が区間3位以内と盤石だった。12月は中旬までインフルエンザがチーム内に広がり、一時は「優勝どころか、シード権も危なかった」と原監督。それでも、指揮官が選手たちと作り上げてきた『原メソッド』を基準に、しっかりと調整。そして何より、選手たちは最後まであきらめなかった。

結実した王座奪還の時、「負けてたまるか大作戦」の大号令の下、攻めの走りを貫いたフレッシュグリーンの継走は、100回を数えた箱根駅伝の歴史に新たなる金字塔を打ち立てた。

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文/田中 葵

◇第100回箱根駅伝(東京・大手町←→神奈川・箱根町/10区間217.1km) 第100回箱根駅伝が行われ、往路を5時間18分13秒の往路新記録で制した青学大が、復路も5時間23分12秒で優勝し、98回大会(22年)に同校が樹立した大会記録を2分17秒も更新する10時間41分25秒をマーク。2年ぶり7度目の王座奪還を“完全優勝”で成し遂げた。 往路優勝後に、原晋監督が「伝統的に復路は強い」と自信を見せたとおり、先頭を走る青学大は今回も強かった。往路優勝からの逃げ切りは、過去6度の優勝の内、実に5回を数える必勝パターン。 今回は2分38秒差で追いかける駒大が、箱根経験者の4年生3人を7~9区に配置したのに対し、青学大は12月29日の区間エントリー時点で8区に入っていた田中悠登(3年)が当日変更で外れたことで、復路は箱根経験者ゼロだった。それでも、選手層の厚いチームで出走を勝ち取った5人は、もれなく力強い走りを披露する。 6区の野村昭夢(3年)が区間歴代9位となる58分14秒で山を駆け下ると、7区の山内健登(4年)も1時間2分46秒の好タイムで区間3位。この時点で駒大との差を芦ノ湖のスタートから2分以上拡大した。 さらに8区の塩出翔太が(2年)が区間歴代3位の1時間4分00秒での快走で区間賞を獲得。続く倉本玄太(4年)も1時間8分51秒で区間賞だった。2人は原監督の母校である広島・世羅高の先輩・後輩コンビ。ここで“ダメ押し”。最後は宇田川瞬矢(2年)が区間2位の走りでヴィクトリーロードを疾走。東京・大手町のフィニッシュで待つチームメイトの歓喜の輪に飛び込んだ。 復路の選手は、そろって前の走者までが良い流れを作ったことに感謝しつつ、自らも“攻め”の走りをしたことを強調。野村と山内が「後ろとの差をさらに広げようと思った」と口をそろえれば、塩出、倉本、宇田川は大量リードの状況でも、それぞれの区間で区間記録への挑戦。 最初で最後の学生三大駅伝出場を果たした倉本は、「リードを広げてもらっていたので、自分も攻めていこうと思った」とOBの中村唯翔(現・SGホールディングス)が2年前にマークした同区の区間記録(1時間7分15秒)に果敢に挑むなど、どんなに後続と差を広げても、決してその走りを緩めることはなかった。 終わってみれば、1区の荒巻朋熙(2年)が先頭の駒大と35秒差に抑えると、2区以降は9人全員が区間3位以内と盤石だった。12月は中旬までインフルエンザがチーム内に広がり、一時は「優勝どころか、シード権も危なかった」と原監督。それでも、指揮官が選手たちと作り上げてきた『原メソッド』を基準に、しっかりと調整。そして何より、選手たちは最後まであきらめなかった。 結実した王座奪還の時、「負けてたまるか大作戦」の大号令の下、攻めの走りを貫いたフレッシュグリーンの継走は、100回を数えた箱根駅伝の歴史に新たなる金字塔を打ち立てた。 文/田中 葵

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