HOME 駅伝

2023.10.29

受け継がれし「女王」の継走!名城大が感涙の7連覇「学生たちが一番あきらめていなかった」/全日本大学女子駅伝
受け継がれし「女王」の継走!名城大が感涙の7連覇「学生たちが一番あきらめていなかった」/全日本大学女子駅伝

7連覇の優勝テープを切る名城大・谷本

◇第41回全日本大学女子駅伝(10月29日/宮城・弘進ゴムアスリートパーク仙台発着、6区間38.0km)

第41回全日本大学女子駅伝が行われ、名城大が2時間4分29秒で7連覇の偉業を達成した。

前回、史上初の6連覇を達成した学生女子駅伝の「女王」。これまで見せたような序盤で独走する盤石の姿ではなかったかもしれないが、それでも連覇を伸ばし、改めてその強さを示した。

1区の米澤奈々香(2年)は前回区間賞。そのまま一度も首位の座を譲らなかい完封リレーにつなげたが、今回はトップの立命大と3秒差の2位だった。

2区の力丸楓(1年)も一度は立命大を逆転したものの、終盤に再び突き放される。ただ、大東大や日体大といった他のライバルたちには2区終了時で50秒前後の大差をつけており、流れが悪いわけではない。

そして、女王のプライドを示したのが3区の石松愛朱加(2年)。直前に米田勝朗監督から「追い上げる準備はできているか?」と問われ、力強く「はい!」と答えて走り出した。

広告の下にコンテンツが続きます

立命大との6秒差をすぐに詰めると、「後半しっかり引き離すことを考えていた」としばらく並走したあと、3.2kmでスパート。立命大の1年生・荒田悠良を一気に突き放した。

5.8kmの3区を18分52秒の区間1位で駆け抜け、31秒もの貯金を生み出した。「自分の区間でトップに立って、リードする」。レース前に立てた個人の目標をこれ以上ない形で実現し、7連覇への流れを大きく引き寄せた。

4区の1年生・薮谷奈瑠が立命大に13秒差とされ、最長9.2kmの5区・原田紗希も大東大のサラ・ワンジル(1年)の猛追を受けた。それでも首位の座は決して譲らなかった。

ここまで1、2年生のみでつないできた名城大のアンカーは、3年生の谷本七星。メンバー入りできなかった4年生・増渕祐香の思いも背負い、「力に変えて走ることができました」。2年連続4区区間新の実力者は、2位争いを繰り広げる大東大、立命大をじりじりと突き放していく。

終わってみれば、同タイムながら2位争いを制した大東大に52秒の快勝劇。両手を広げてフィニッシュした谷本を迎えた選手たちは、歓喜の輪をつくり、うれし涙があふれた。

米田監督の言葉が、ここまでの道のりと、脈々と受け継がれたものを表している。

「正直、何回も何回もあきらめかけた時がありましたが、学生たちが一番あきらめていませんでした」

今季は、故障者が相次ぎ、「夏までまったくチームが噛み合わなかった」と米田監督。連覇を支えてきた加世田梨花、和田有菜、髙松智美ムセンビ、小林成美、山本有真らのように「飛び出た選手はいません」。

チームを支える上級生でメンバー入りできたのは3年生の谷本だけ。登録選手でただ1人の4年生だった増渕も出走メンバーから外れた。そんなチーム状況から、米田監督は「今回は、本当に厳しい戦いになると予想していました」と言う。

だが、選手たちは連覇の重圧の中でも、最後の最後で踏ん張った。2年生の米澤と原田は、「去年と違う状態でスタートラインに立ちましたが、その中でもチームメイト、監督が支えてくださった。やるしかないと走りました」(米澤)、「強い選手がいる区間だったけど、安心して走ることができた。みんなに『ありがとう』と言いたいです」と感謝を述べた。

先輩たちの背中を見て、次の力も育っている。1年生の力丸が「去年までダントツで走っているあこがれの名城大のタスキをつけていることに感動しながら走りました。沿道の応援も力になりました」と言えば、薮谷は「先輩が作ってきた歴史をつないでいけるよう、来年もここに帰ってきたいです」ときっぱり語る。

名将の想像を超えた名城大の継走。脈々と受け継がれた女王の姿がそこにあった。

◇第41回全日本大学女子駅伝(10月29日/宮城・弘進ゴムアスリートパーク仙台発着、6区間38.0km) 第41回全日本大学女子駅伝が行われ、名城大が2時間4分29秒で7連覇の偉業を達成した。 前回、史上初の6連覇を達成した学生女子駅伝の「女王」。これまで見せたような序盤で独走する盤石の姿ではなかったかもしれないが、それでも連覇を伸ばし、改めてその強さを示した。 1区の米澤奈々香(2年)は前回区間賞。そのまま一度も首位の座を譲らなかい完封リレーにつなげたが、今回はトップの立命大と3秒差の2位だった。 2区の力丸楓(1年)も一度は立命大を逆転したものの、終盤に再び突き放される。ただ、大東大や日体大といった他のライバルたちには2区終了時で50秒前後の大差をつけており、流れが悪いわけではない。 そして、女王のプライドを示したのが3区の石松愛朱加(2年)。直前に米田勝朗監督から「追い上げる準備はできているか?」と問われ、力強く「はい!」と答えて走り出した。 立命大との6秒差をすぐに詰めると、「後半しっかり引き離すことを考えていた」としばらく並走したあと、3.2kmでスパート。立命大の1年生・荒田悠良を一気に突き放した。 5.8kmの3区を18分52秒の区間1位で駆け抜け、31秒もの貯金を生み出した。「自分の区間でトップに立って、リードする」。レース前に立てた個人の目標をこれ以上ない形で実現し、7連覇への流れを大きく引き寄せた。 4区の1年生・薮谷奈瑠が立命大に13秒差とされ、最長9.2kmの5区・原田紗希も大東大のサラ・ワンジル(1年)の猛追を受けた。それでも首位の座は決して譲らなかった。 ここまで1、2年生のみでつないできた名城大のアンカーは、3年生の谷本七星。メンバー入りできなかった4年生・増渕祐香の思いも背負い、「力に変えて走ることができました」。2年連続4区区間新の実力者は、2位争いを繰り広げる大東大、立命大をじりじりと突き放していく。 終わってみれば、同タイムながら2位争いを制した大東大に52秒の快勝劇。両手を広げてフィニッシュした谷本を迎えた選手たちは、歓喜の輪をつくり、うれし涙があふれた。 米田監督の言葉が、ここまでの道のりと、脈々と受け継がれたものを表している。 「正直、何回も何回もあきらめかけた時がありましたが、学生たちが一番あきらめていませんでした」 今季は、故障者が相次ぎ、「夏までまったくチームが噛み合わなかった」と米田監督。連覇を支えてきた加世田梨花、和田有菜、髙松智美ムセンビ、小林成美、山本有真らのように「飛び出た選手はいません」。 チームを支える上級生でメンバー入りできたのは3年生の谷本だけ。登録選手でただ1人の4年生だった増渕も出走メンバーから外れた。そんなチーム状況から、米田監督は「今回は、本当に厳しい戦いになると予想していました」と言う。 だが、選手たちは連覇の重圧の中でも、最後の最後で踏ん張った。2年生の米澤と原田は、「去年と違う状態でスタートラインに立ちましたが、その中でもチームメイト、監督が支えてくださった。やるしかないと走りました」(米澤)、「強い選手がいる区間だったけど、安心して走ることができた。みんなに『ありがとう』と言いたいです」と感謝を述べた。 先輩たちの背中を見て、次の力も育っている。1年生の力丸が「去年までダントツで走っているあこがれの名城大のタスキをつけていることに感動しながら走りました。沿道の応援も力になりました」と言えば、薮谷は「先輩が作ってきた歴史をつないでいけるよう、来年もここに帰ってきたいです」ときっぱり語る。 名将の想像を超えた名城大の継走。脈々と受け継がれた女王の姿がそこにあった。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.08.23

長距離指導者の川越学氏が63歳で急逝 資生堂、エディオンで監督歴任 競歩の藤井も指導

女子長距離を中心にトップ選手を指導してきた川越学氏が、8月22日に脳卒中のため亡くなったことがわかった。63歳だった。 鹿児島県出身の川越氏は、現役時代は鹿児島南高、早大で活躍。箱根駅伝では2度の優勝を果たし、日本インカ […]

NEWS 100m・ジェファーソンが10秒76V 砲丸投・ジャクソンが大会新 マリングスが円盤投初優勝/DLブリュッセル

2025.08.23

100m・ジェファーソンが10秒76V 砲丸投・ジャクソンが大会新 マリングスが円盤投初優勝/DLブリュッセル

世界最高峰シリーズのダイヤモンドリーグ(DL)第14戦・ブリュッセル大会(ベルギー)が8月22日に行われ、女子100m(-0.2)はパリ五輪銅メダルのM.ジェファーソン(米国)が10秒76で優勝した。 ジェファーソンは現 […]

NEWS 5000m田中希実が14分37秒19!自己4番目の好記録で世界陸上へ弾み 走高跳・真野は4位タイ/DLブリュッセル

2025.08.23

5000m田中希実が14分37秒19!自己4番目の好記録で世界陸上へ弾み 走高跳・真野は4位タイ/DLブリュッセル

世界最高峰シリーズのダイヤモンドリーグ(DL)第14戦・ブリュッセル大会(ベルギー)が8月22日に行われ、女子5000mに田中希実(New Balance)が出場。14分37秒19の9位だった。 田中は第2集団の後方でレ […]

NEWS 日本陸連が育成年代のスケジュール案を提示「待ったなし」夏開催や全国大会の在り方再考へ「はたらきかけていく」

2025.08.22

日本陸連が育成年代のスケジュール案を提示「待ったなし」夏開催や全国大会の在り方再考へ「はたらきかけていく」

日本陸連は8月22日、育成年代の年間競技会スケジュールや暑熱問題による夏の競技会開催、さらには全国大会の在り方について、報道陣に向けて指針を示した。会見には日本陸連の田﨑博道専務理事と山崎一彦強化委員長が登壇した。 今年 […]

NEWS 4×100mR市柏高が2レース連続のU18日本新!予選45秒51を経て決勝は45秒47とさらに更新

2025.08.22

4×100mR市柏高が2レース連続のU18日本新!予選45秒51を経て決勝は45秒47とさらに更新

関東選手権が8月22日、埼玉県熊谷市の熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で開幕し、女子4×100mリレーでは1、2年生で編成された市柏高(千葉)がU18日本新記録の45秒47で優勝した。 走順は1走から順に石郷岡暖(1年)、 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年9月号 (8月12日発売)

2025年9月号 (8月12日発売)

衝撃の5日間
広島インターハイ特集!
桐生祥秀 9秒99

page top