2023.05.21
◇セイコーゴールデングランプリ2023(5月21日/神奈川・日産スタジアム)
世界陸連(WA)コンチネンタルツアー・ゴールドのセイコーゴールデングランプリが行われ、男子走幅跳は吉田弘道(神崎陸協)が日本歴代3位となる8m26(+1.0)の大ジャンプ。ブダペスト世界選手権参加標準記録(8m25)も見事に突破した。
3回目までは7m91(+0.7)が最高で、5位でトップ8に進んだ吉田。ファウルとなった4回目、追い風参考ながら8m11(+2.6)でトップに立った5回目を含め、「ファウルが怖くて動きが小さくなっていた」とそれほど手応えを持っていたわけではなかったという。
だが、最終跳躍で「ファウルでも追い風参考でも何でもいいから、今日出せる力を120%出そう」と助走をスタート。力強い踏み切りから、ビッグジャンプが飛び出した。
これまでの自己記録は2年前の7月に出した日本歴代8位の8m14。それを12㎝も上回るだけでなく、昨年のオレゴン世界選手権覇者・王嘉男(中国)も4㎝差で抑える殊勲の優勝を飾った。
吉田自身は、「記録や勝つことはまったく意識していなかった」そうで、結果については「たまたま」と謙遜する。ただ、世界王者に勝ち、歴代記録でも城山正太郎(ゼンリン/8m40)や橋岡優輝(富士通/8m36)に次ぐ位置まで浮上したことの意味は大きい。
兵庫・姫路商高ではインターハイで2位。立命大4年時に8mジャンパーの仲間入りを果たした。ただ、全国大会のタイトルになかなか縁がなく、大学を卒業した昨年からは地元・神崎郡の陸協登録で、地道な活動を続けている。
昨年は自己ベストに迫る8m12をジャンプしているが、今季は3月に7m99と順調な出足を見せた後、「練習でも試合でも、自分のイメージとかみ合わずになかなかモチベーションを保てなかった」と言う。
踏み切りで少し後傾していたり、着地動作がベストを出せていた時と動きができていなかったり。試行錯誤を重ねてもその状態が続いた。そのため、この日は「まずは試合に出る楽しさを思い返せれば」と開き直り、ウォーミングアップから「1つひとつの動きを丁寧に」繰り返した。その取り組みが、6本目に「やっと出せた」。
8m26は今季世界5位。初の世界大会がグッと近づいたが、吉田は「この1回限りじゃダメ」と気を引き締める。「毎試合、8m前後を3回目までに出すこと」が世界で戦うために必要なことと認識し、それを6月の日本選手権で目指していく。
日本選手権では「しっかりと勝ち切りたい。最低でも3位以内を」と吉田。世界チャンピオンとは「まだまだ足元にも及ばない」と感じていて、国内でも「世界を経験している人たちとはまだまだ差がある」と思っている。それでも、「力はついてきた」という手応えは十分得た。「経験値を少しでも上げていければ」と、まっすぐ前を見つめる。
男子走幅跳日本歴代10傑をチェック!
男子走幅跳日本歴代10傑 8.40 1.5 城山正太郎(ゼンリン) 2019. 8.17 8.36 0.6 橋岡 優輝(富士通) 2021. 6.27 8.26 1.0 吉田 弘道(神崎陸協) 2023. 5.21 8.25 1.6 森長 正樹(日大3) 1992. 5. 5 8.23 0.6 津波 響樹(東洋大4) 2019. 8.17 8.20 1.8 寺野 伸一(サンクラブ) 2004. 6. 6 8.18 1.3 菅井 洋平(ミズノ) 2015. 4.18 8.17 0.9 山川 夏輝(佐賀県スポ協) 2022. 6.19 8.15 2.0 田川 茂(ミズノ) 1999. 6.12 8.13 0.7 朝原 宣治(同大3) 1993.12. 3【動画】吉田弘道が見せたビッグジャンプ
【#ゴールデングランプリ陸上 result 】
— TBS 陸上 (@athleteboo) May 21, 2023
#TBS 系列で放送中🔥#男子走幅跳 💨
#吉田弘道 が8m26のビッグジャンプで
世界陸上金メダリストを破り優勝🥇✨
世界陸上参加標準記録を突破❗️✨
日本記録歴代3位の記録をマーク🔥 pic.twitter.com/7aafJMOrrC
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