2020.08.05
【イベント】
トップ選手がペースメーカーに!
「バーチャレin世田谷」で陸上の新たな魅力を発見
主に中高生を対象とした非公認のタイムトライアルイベント「バーチャレin世田谷」が8月1日、東京都の世田谷区総合運動場競技場で開催され、日本のトップアスリートたちがペースメーカーを務める中で、42人の参加者が800mと1500mで自身の目標に挑戦した。

トップアスリートがペースメーカーとして出走した「バーチャレin世田谷」
中高生のためにトップ選手が協力
このイベントはインターハイや全中の中止を受けて立ち上げられた中高生向けオンラインイベント「Virtual Distance Challenge(通称:バーチャレ)」にエントリーするための計測会として企画されたもの。会社員の岡田健さん(2013年世界ユース選手権3000m代表)が、個人的に指導している高校生をバーチャレにエントリーさせるために貸切利用ができる競技場を探していたところ、もともと親交のあったバーチャレ主催者である横田真人さん(TWOLAPS TC代表、男子800m元日本記録保持者)と意気投合。個人的なタイムトライアルではなく、バーチャレの計測イベントとして開催することになり、TWOLAPSで活動するアスリートたちも運営に協力した。
豪華ペースメーカーが好記録をアシスト
受付では昨年のドーハ世界選手権代表でハーフマラソン日本記録保持者の新谷仁美選手、昨年の日本選手権で女子中距離2冠の卜部蘭選手(ともに積水化学)らが〝アルコール消毒係〟として感染症の拡大防止を呼びかけ、レースでもペースメーカーを担当。ほかにも横田さんや元800m選手でTWOLAPSのマロン・アジィズ航太コーチ、現役の飯島陸斗選手、田母神一喜選手(ともに阿見アスリートクラブ)や現役の学生ランナーたちもペースメーカーとして出走し、参加者の好記録をアシストした。

新谷仁美選手(右から3人目)や卜部蘭選手(その左、ともに積水化学)らトップアスリートが受付でアルコール消毒を行った
さらに、TWOLAPSで活動する細井衿菜選手(慶大)と女子400mハードルの石塚晴子選手(LAWSON)、2015年インターハイ110mハードル王者で今も大会記録を持つ金井直さんらがスタッフを務め、豪華メンバーで大会を盛り上げた。
各種目のトップは800mが奥泰貴選手(高3)の1分56秒5で、他に2人が1分台でフィニッシュ。1500mは大学生の郡山京梧選手が3分56秒0とただ1人3分台をマークした。参加した42人のうち22人が自己ベストを上回る大盛況だった。

各組のスタート前にはペースメーカーたちがレースプランを打ち合わせ。左端がバーチャレ主催者の横田真人さん

参加者の目標タイムに合わせたペースメーカーを配置して好記録をアシストした

1500m最終組では田母神一喜選手(阿見アスリートクラブ、先頭)が残り200m付近までレースを先導。会場が一体となって大会を盛り上げた。右は1着となった大学生の郡山京梧選手
「非公認だからできることがある」
800mに出場した中学生の戸川歌恋選手(中3)と妹の杏奈選手(中1)は、卜部選手や新谷選手にペースメーカーをしてもらい、「テレビで見ている選手たちと一緒に走れて、それだけでうれしかったです」と目を輝かせた。昨年2分18秒29をマークしている歌恋選手は今年の全中出場を目標にしていたが、新型コロナウイルスの影響で大会が中止に。「その時はすごく残念でしたが、こういう場所で走れて、またがんばろうと思いました」とバーチャレの存在が励みになったようだ。今大会は2分25秒8で組1着を占め、トップ選手たちから力走を称えられた。

800mに出場した中学生の戸川歌恋選手(左から2人目)と妹の杏奈選手(その右)。新谷選手、卜部選手と一緒に走れたことが励みになったという
イベントを主催した岡田さんは「決して参加者が多い大会ではありませんでしたが、すごくエネルギーがあふれていたんだなと思いました」と選手たちの走りに心を打たれた様子。仕事の傍ら、休日を使って大会の準備に追われたというが、「高校生からも『この大会がなかったら(目標が)何もありませんでした』と言われて、やってよかったなと思いました」と安堵感を漂わせた。

イベントを主催した岡田健さん(左)と双子の弟である望さん。オープニングでは動画の撮影テストを兼ねて2人で800mを走行した。望さんはバーチャレ公式テーマソングを作詞作曲している
横田さんは「バーチャレを立ち上げた当初は、阿見ACが関係する福島と茨城以外でこういった測定会をやることは想定していませんでした。自然発生的に各地で大会が企画され、盛り上がってきたのがおもしろい。非公認の大会だからできることがありますし、もっとスポーツに関わる人が増えてくれたら」とバーチャレの広がりに期待した。
新谷選手も「スポーツのあり方を考える機会が多い中で、こうしたイベントを通して、みなさんがスポーツを求めている、楽しみたい、ということを改めて知ることができました。また、陸上競技はファンと選手の距離が近いようで遠い。こうして一緒に走れたり、交流できたり、そういったイベントがもっとあってもいい。こういう時期は選手にとっても応援してもらえるチャンスだと思います」と自身もファンとの交流を楽しんでいた。

「バーチャレin世田谷」は少人数イベントながら大いに盛り上がった
バーチャレ(https://virtualrace.jp/vdc2020)は7月20日から8月23日までがエントリー期間で、8月14日以降に動画つきで投稿された記録によるランキングで順位を決める。動画は閲覧が可能で、通常の大会とは違った陸上競技の魅力が発信されそうだ。
文/山本慎一郎
<関連記事>
・【ALL for TOKYO 2020+1】新谷仁美 今もまだ進化の途中(2020年8月号誌面転載記事)
・Special Close-up新谷仁美(『月刊陸上競技』2019年4月号誌面転載記事)
・【Web特別記事】日本初の男子中距離プロチーム「阿見AC SHARKS」発足のストーリー
<関連リンク>
・Virtual Distance Challenge(公式サイト)
・全国大会がなくなった中高生のためにバーチャル陸上大会を!(バーチャレのクラウドファンディングページ)
・「バーチャレ世田谷を主催しました。(前編)」
「バーチャレ世田谷を主催しました。(後編)」
※主催者・岡田健さんのブログ(参加者の記録も掲載)
【イベント】 トップ選手がペースメーカーに! 「バーチャレin世田谷」で陸上の新たな魅力を発見
トップアスリートがペースメーカーとして出走した「バーチャレin世田谷」
中高生のためにトップ選手が協力
このイベントはインターハイや全中の中止を受けて立ち上げられた中高生向けオンラインイベント「Virtual Distance Challenge(通称:バーチャレ)」にエントリーするための計測会として企画されたもの。会社員の岡田健さん(2013年世界ユース選手権3000m代表)が、個人的に指導している高校生をバーチャレにエントリーさせるために貸切利用ができる競技場を探していたところ、もともと親交のあったバーチャレ主催者である横田真人さん(TWOLAPS TC代表、男子800m元日本記録保持者)と意気投合。個人的なタイムトライアルではなく、バーチャレの計測イベントとして開催することになり、TWOLAPSで活動するアスリートたちも運営に協力した。豪華ペースメーカーが好記録をアシスト
受付では昨年のドーハ世界選手権代表でハーフマラソン日本記録保持者の新谷仁美選手、昨年の日本選手権で女子中距離2冠の卜部蘭選手(ともに積水化学)らが〝アルコール消毒係〟として感染症の拡大防止を呼びかけ、レースでもペースメーカーを担当。ほかにも横田さんや元800m選手でTWOLAPSのマロン・アジィズ航太コーチ、現役の飯島陸斗選手、田母神一喜選手(ともに阿見アスリートクラブ)や現役の学生ランナーたちもペースメーカーとして出走し、参加者の好記録をアシストした。
新谷仁美選手(右から3人目)や卜部蘭選手(その左、ともに積水化学)らトップアスリートが受付でアルコール消毒を行った
さらに、TWOLAPSで活動する細井衿菜選手(慶大)と女子400mハードルの石塚晴子選手(LAWSON)、2015年インターハイ110mハードル王者で今も大会記録を持つ金井直さんらがスタッフを務め、豪華メンバーで大会を盛り上げた。
各種目のトップは800mが奥泰貴選手(高3)の1分56秒5で、他に2人が1分台でフィニッシュ。1500mは大学生の郡山京梧選手が3分56秒0とただ1人3分台をマークした。参加した42人のうち22人が自己ベストを上回る大盛況だった。
各組のスタート前にはペースメーカーたちがレースプランを打ち合わせ。左端がバーチャレ主催者の横田真人さん
参加者の目標タイムに合わせたペースメーカーを配置して好記録をアシストした
1500m最終組では田母神一喜選手(阿見アスリートクラブ、先頭)が残り200m付近までレースを先導。会場が一体となって大会を盛り上げた。右は1着となった大学生の郡山京梧選手
「非公認だからできることがある」
800mに出場した中学生の戸川歌恋選手(中3)と妹の杏奈選手(中1)は、卜部選手や新谷選手にペースメーカーをしてもらい、「テレビで見ている選手たちと一緒に走れて、それだけでうれしかったです」と目を輝かせた。昨年2分18秒29をマークしている歌恋選手は今年の全中出場を目標にしていたが、新型コロナウイルスの影響で大会が中止に。「その時はすごく残念でしたが、こういう場所で走れて、またがんばろうと思いました」とバーチャレの存在が励みになったようだ。今大会は2分25秒8で組1着を占め、トップ選手たちから力走を称えられた。
800mに出場した中学生の戸川歌恋選手(左から2人目)と妹の杏奈選手(その右)。新谷選手、卜部選手と一緒に走れたことが励みになったという
イベントを主催した岡田さんは「決して参加者が多い大会ではありませんでしたが、すごくエネルギーがあふれていたんだなと思いました」と選手たちの走りに心を打たれた様子。仕事の傍ら、休日を使って大会の準備に追われたというが、「高校生からも『この大会がなかったら(目標が)何もありませんでした』と言われて、やってよかったなと思いました」と安堵感を漂わせた。
イベントを主催した岡田健さん(左)と双子の弟である望さん。オープニングでは動画の撮影テストを兼ねて2人で800mを走行した。望さんはバーチャレ公式テーマソングを作詞作曲している
横田さんは「バーチャレを立ち上げた当初は、阿見ACが関係する福島と茨城以外でこういった測定会をやることは想定していませんでした。自然発生的に各地で大会が企画され、盛り上がってきたのがおもしろい。非公認の大会だからできることがありますし、もっとスポーツに関わる人が増えてくれたら」とバーチャレの広がりに期待した。
新谷選手も「スポーツのあり方を考える機会が多い中で、こうしたイベントを通して、みなさんがスポーツを求めている、楽しみたい、ということを改めて知ることができました。また、陸上競技はファンと選手の距離が近いようで遠い。こうして一緒に走れたり、交流できたり、そういったイベントがもっとあってもいい。こういう時期は選手にとっても応援してもらえるチャンスだと思います」と自身もファンとの交流を楽しんでいた。
「バーチャレin世田谷」は少人数イベントながら大いに盛り上がった
バーチャレ(https://virtualrace.jp/vdc2020)は7月20日から8月23日までがエントリー期間で、8月14日以降に動画つきで投稿された記録によるランキングで順位を決める。動画は閲覧が可能で、通常の大会とは違った陸上競技の魅力が発信されそうだ。
文/山本慎一郎
<関連記事>
・【ALL for TOKYO 2020+1】新谷仁美 今もまだ進化の途中(2020年8月号誌面転載記事)
・Special Close-up新谷仁美(『月刊陸上競技』2019年4月号誌面転載記事)
・【Web特別記事】日本初の男子中距離プロチーム「阿見AC SHARKS」発足のストーリー
<関連リンク>
・Virtual Distance Challenge(公式サイト)
・全国大会がなくなった中高生のためにバーチャル陸上大会を!(バーチャレのクラウドファンディングページ)
・「バーチャレ世田谷を主催しました。(前編)」
「バーチャレ世田谷を主催しました。(後編)」
※主催者・岡田健さんのブログ(参加者の記録も掲載) RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2026.01.23
編集部コラム「年末年始」
2026.01.18
【大会結果】第31回全国都道府県対抗男子駅伝(2026年1月18日)
2026.01.18
【テキスト速報】第31回全国都道府県対抗男子駅伝
-
2026.01.18
-
2025.12.30
-
2026.01.18
-
2026.01.12
-
2026.01.02
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2026.01.23
編集部コラム「年末年始」
攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム?? 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。 編集スタッフが週替りで […]
2026.01.23
中島佑気ジョセフに立川市市民栄誉表彰「地道に一歩ずつ頑張ることが大事」母校凱旋に熱烈歓迎、卒業文集に書いた夢明かす
男子400m日本記録保持者の中島佑気ジョセフ(富士通)が、地元の立川市から市民栄誉表彰が授与された。 昨年の東京世界選手権では、予選で44秒44の日本新を出すと、準決勝では組2着に入って1991年東京大会の高野進以来とな […]
2026.01.23
招待選手が抱負!上杉真穂「全力を出し切る」西村美月「これからにつなげる」伊澤菜々花「心を燃やして」前回の雪辱へ/大阪国際女子マラソン
マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)シリーズG1の大阪国際女子マラソンを2日後に控え、有力選手が前々日会見に登壇した。 22年にこの大会で2位に入るなど国内では実績と経験のある上杉真穂(東京メトロ)は、「練習も順 […]
2026.01.23
東京五輪マラソン銀・コスゲイ ケニアからトルコへ国籍変更! ロス五輪の出場目指し、複数のケニア人ランナーも同調
女子マラソンの東京五輪銀メダリストB.コスゲイら複数のケニア人選手が、国籍をトルコに変更することが明らかになった。 現在32歳のコスゲイは、19年に2時間14分04秒の世界記録(当時)を樹立。21年東京五輪以来ケニア代表 […]
2026.01.23
2004年五輪短距離入賞のララヴァ・コリオが禁止薬物で暫定資格停止処分 21年ニューヨークマラソンVのコリルも
世界陸連(WA)の独立不正調査機関「アスリート・インテグリティ・ユニット(AIU)」は1月23日までに、女子短距離のI.ララヴァ・コリオ(ブルガリア)ら複数の選手に対し資格停止処分または暫定資格停止処分を科すことを発表し […]
Latest Issue
最新号
2026年2月号 (1月14日発売)
EKIDEN Review
第102回箱根駅伝
ニューイヤー駅伝
全国高校駅伝
全国中学校駅伝
富士山女子駅伝