2026.06.13
◇第110回日本選手権(6月12~14日/愛知・パロマ瑞穂スタジアム)2日目
名古屋アジア大会代表選考会を兼ねた日本選手権が行われ、女子800mは久保凛(積水化学)が2分01秒54で3連覇を達成。アジア大会派遣設定記録(2分01秒67)を突破してアジア大会代表に内定した。
予選から好調の塩見綾乃(岩谷産業)が先行するなか、ラストは激しいデッドヒートに。これまでの独走とは違う展開。ひたひたと塩見に迫る。「予選よりは動いていたのですが、余裕はなかった。その中でも勝ち切れた」。
フィニッシュ手前で並びかけ、わずかに前に出たのは日本記録保持者、そして女王としての意地だった。「切っていると思わなかった」とアジア大会派遣設定記録もクリア。思わず感情があふれた。
「ここに立つだけでもしんどかった。いろんな感情があって、やっとたどり着いた」
高校卒業前にケガをしたまま、万全でないなかで新社会人生活がスタート。関西を離れて上京し、男子元日本記録保持者の横田真人氏がコーチを務めるTWOLAPSを拠点にした。
初戦だった5月10日の木南記念では、2分07秒47も要し、「最初はうまくいかないとわかっていても、思っていた以上でした。自信がなくなってしまいました」。その後は3日間ほど食事を満足に取れないほど落ち込み、「ニュースや良くないコメントを見てしまいました」。だが、チームの仲間がドライブに連れ出してくれ、部屋で経験談を話し、アイスをごちそうしてくれた。
「みんなに励ましてもらって、すぐに元気になりましたし、絶対に成功させたいという気持ちになりました」
MDCで2分02秒まで戻し、ここに向けても状態は上がっていたものの、「昨日は緊張しました。決勝も不安がありました」。横田コーチは「練習は走れているんだからそのままでいい。誰かの力を借りてもいい」とアドバイス。「その通りの展開になりました」と久保は笑顔を見せる。
感情の浮き沈みが大きく、ジェットコースターのような日々。そういった苦しみを、これまでと違う形で、新たな仲間たちに支えながら乗り越えられたからこそ、「これまでの優勝の中で一番うれしいですし、価値があると思います」と誇った。
名古屋アジア大会の前にはU20世界選手権も待つ。「どちらも優勝できるように。まだキレが足りないので、ここからメニューなども相談していきたいです」。さらに、来年の北京世界選手権の参加標準記録も1分57秒00と発表され「出せるだろう、くらいのパワーを見せられるようになりたい」。
従兄弟のサッカー・久保建英も、明後日朝(日本時間)にワールドカップ初戦という大一番を迎える。「もちろん見ます!でも、みなさん日曜日までは陸上を見てもらって、そこからサッカーへ」と笑顔でアピールした。
笑顔が戻ったミドルの女王。3連覇とアジア切符を手に、ここから本格的に新たな環境での挑戦の一歩を踏み出す。
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