HOME 駅伝、大学

2024.12.30

立命大が大会新Vで2冠達成!優勝遠ざかるも「代々受け継がれたタスキがある」/富士山女子駅伝
立命大が大会新Vで2冠達成!優勝遠ざかるも「代々受け継がれたタスキがある」/富士山女子駅伝

富士山女子駅伝を制して胴上げされる立命大・村松灯

◇全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝、12月30日/静岡・富士山本宮浅間大社前〜富士総合運動公園陸上競技場:7区間43.4km)

富士山女子駅伝が行われ、立命大が7年ぶりの優勝を果たした。2時間21分09秒は大会新記録。全日本大学女子駅伝との2冠はチーム9年ぶりだった。

全日本大学女子駅伝を9年ぶりに制してすぐに、チームは「富士山を制してこそ本当の日本一」と、決して雰囲気が緩むことはなかった。その気迫が継走に込められていた。

広告の下にコンテンツが続きます

1区の太田咲雪(2年)が「自分のところでライバル校と差を広げる。最初から攻めの気持ちで」と力強い走り。逃げる全日本大学選抜はひとまずスルーし、優勝争いと目される名城大、日体大、大東大を見ながら区間3位と好スタートを切る。

全日本同様に前半から流れを作るため、エースの村松灯(4年)が2区。「立命館として最後のレース。そこに強い気持ちを持って臨めた」。こちらも区間3位で日体大、大東大をとらえられる位置でレースを進める。

3、4区は1年生が全日本でも好走していた務めたが、連続区間賞で流れをグッと引き寄せた。「混戦で来ているのは配信を見てわかっていました」という森安桃風(1年)は「前日から、どんな状況で来ても差を広げる走りをしたいと思っていた」。トップの日体大とは3秒差の2位で中継し「自分の役目を果たせた」。

そして、圧巻の富士山デビューを飾った山本釉未(1年)が区間新でトップへ。十倉みゆきコーチからの「頭一つ抜け出してくれ」という期待に応えてみせる。区間新には「素晴らしい選手と競り合えたから」と感謝した。

続く最長区間の土屋舞琴(3年)は「緊張もあった」と明かすが、「みんなのために勝ちたい。4年生に先頭で渡したい」と粘りの走り。区間順位こそ6位だったが、大東大のサラ・ワンジル(2年)から31秒差の3位でつなぐ。

ラスト2区間は4年生2人。6区の福永楓花(4年)は全日本でメンバー外だった。「今思い出しても悔しい」と涙を浮かべる。メンバー発表後は「平然を装っていたのですが、全日本大学女子駅伝が終わってからの練習では泣きながら走っていました」。それからは生活面やトレーニングも見直し、「富士山で走って優勝するためだけ」に日々を過ごしたという。その成果が、区間記録を19秒も更新する走りに表れた。

アンカーは中地こころ(4年)。「どの位置でもらっても優勝のテープを切ると思っていた」。険しいVロードにも「きつくても優勝だけをめがけて走った」。前回も7区を走り、3位と10秒差の4位。「本当に悔しい思いをしたので優勝目指して練習してきました」。最後の富士山は区間賞で花を添えた。

杉村憲一監督は「十倉コーチをはじめ、みんなが毎日顔を合わせてこの結果につながりました」とスタッフ陣にも感謝。そして、応援に駆けつけた長距離以外のブロックの選手にも感謝した。「目標を達成できて、素晴らしい子たち」と目を細める。

杉村監督、そして後輩たちが「4年生が中心になって」と何度も口にした。強い立命館にあこがれて入部した村松だったが、3年目までは日本一から遠ざかった。この1年は「本当に優勝を目指して取り組めた」と村松は胸を張る。

太田は先輩たちに対し、「普段の練習、生活面、いろんなところで引っ張ってもらえました。時には心を鬼にして、強くなるために言いたくないようなことも言ってくださった」と言う。杉村監督も「精神面、競技面、あらゆることの支えであり、後輩たちみんなが大好きな4年生です」と称えた。

長らく続いた名城大の時代。その前には絶対女王として君臨していたのが立命大だった。

「立命館は代々受け継いでくれたタスキがあります。優勝していない間も、どんな状況であっても優勝を目指してきました。立命館の特徴は攻めと粘り。全員が全員を信じて、立命館らしい駅伝を続けていってほしい。4年生の存在が大きいといってくれましたが、本当に強い後輩がたくさんいるので、絶対大丈夫。卒業しても応援していきたいです」

3年時から2年間、名門の主将を務め、復活へと導いた静かな闘将・村松は、その熱い思いを臙脂のタスキに込めて後輩たちへとつないだ。

◇全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝、12月30日/静岡・富士山本宮浅間大社前〜富士総合運動公園陸上競技場:7区間43.4km) 富士山女子駅伝が行われ、立命大が7年ぶりの優勝を果たした。2時間21分09秒は大会新記録。全日本大学女子駅伝との2冠はチーム9年ぶりだった。 全日本大学女子駅伝を9年ぶりに制してすぐに、チームは「富士山を制してこそ本当の日本一」と、決して雰囲気が緩むことはなかった。その気迫が継走に込められていた。 1区の太田咲雪(2年)が「自分のところでライバル校と差を広げる。最初から攻めの気持ちで」と力強い走り。逃げる全日本大学選抜はひとまずスルーし、優勝争いと目される名城大、日体大、大東大を見ながら区間3位と好スタートを切る。 全日本同様に前半から流れを作るため、エースの村松灯(4年)が2区。「立命館として最後のレース。そこに強い気持ちを持って臨めた」。こちらも区間3位で日体大、大東大をとらえられる位置でレースを進める。 3、4区は1年生が全日本でも好走していた務めたが、連続区間賞で流れをグッと引き寄せた。「混戦で来ているのは配信を見てわかっていました」という森安桃風(1年)は「前日から、どんな状況で来ても差を広げる走りをしたいと思っていた」。トップの日体大とは3秒差の2位で中継し「自分の役目を果たせた」。 そして、圧巻の富士山デビューを飾った山本釉未(1年)が区間新でトップへ。十倉みゆきコーチからの「頭一つ抜け出してくれ」という期待に応えてみせる。区間新には「素晴らしい選手と競り合えたから」と感謝した。 続く最長区間の土屋舞琴(3年)は「緊張もあった」と明かすが、「みんなのために勝ちたい。4年生に先頭で渡したい」と粘りの走り。区間順位こそ6位だったが、大東大のサラ・ワンジル(2年)から31秒差の3位でつなぐ。 ラスト2区間は4年生2人。6区の福永楓花(4年)は全日本でメンバー外だった。「今思い出しても悔しい」と涙を浮かべる。メンバー発表後は「平然を装っていたのですが、全日本大学女子駅伝が終わってからの練習では泣きながら走っていました」。それからは生活面やトレーニングも見直し、「富士山で走って優勝するためだけ」に日々を過ごしたという。その成果が、区間記録を19秒も更新する走りに表れた。 アンカーは中地こころ(4年)。「どの位置でもらっても優勝のテープを切ると思っていた」。険しいVロードにも「きつくても優勝だけをめがけて走った」。前回も7区を走り、3位と10秒差の4位。「本当に悔しい思いをしたので優勝目指して練習してきました」。最後の富士山は区間賞で花を添えた。 杉村憲一監督は「十倉コーチをはじめ、みんなが毎日顔を合わせてこの結果につながりました」とスタッフ陣にも感謝。そして、応援に駆けつけた長距離以外のブロックの選手にも感謝した。「目標を達成できて、素晴らしい子たち」と目を細める。 杉村監督、そして後輩たちが「4年生が中心になって」と何度も口にした。強い立命館にあこがれて入部した村松だったが、3年目までは日本一から遠ざかった。この1年は「本当に優勝を目指して取り組めた」と村松は胸を張る。 太田は先輩たちに対し、「普段の練習、生活面、いろんなところで引っ張ってもらえました。時には心を鬼にして、強くなるために言いたくないようなことも言ってくださった」と言う。杉村監督も「精神面、競技面、あらゆることの支えであり、後輩たちみんなが大好きな4年生です」と称えた。 長らく続いた名城大の時代。その前には絶対女王として君臨していたのが立命大だった。 「立命館は代々受け継いでくれたタスキがあります。優勝していない間も、どんな状況であっても優勝を目指してきました。立命館の特徴は攻めと粘り。全員が全員を信じて、立命館らしい駅伝を続けていってほしい。4年生の存在が大きいといってくれましたが、本当に強い後輩がたくさんいるので、絶対大丈夫。卒業しても応援していきたいです」 3年時から2年間、名門の主将を務め、復活へと導いた静かな闘将・村松は、その熱い思いを臙脂のタスキに込めて後輩たちへとつないだ。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.19

マラソン日本記録保持者・鈴木健吾が神奈川大のアンバサダー就任 「刺激や勇気を届けられる存在でありたい」

神奈川大は11月19日、男子マラソン日本記録保持者でOBの鈴木健吾が陸上部のアンバサダーに就任したと発表した。 鈴木は箱根駅伝では3年連続で2区を担い、3年時に区間賞を獲得。4年時には東京マラソンで2時間10分21秒で走 […]

NEWS 岡山・京山が今年も男女ともに全国出場! 全中1500m優勝・是枝愛香を擁する内部は26年ぶり/中学駅伝

2025.11.19

岡山・京山が今年も男女ともに全国出場! 全中1500m優勝・是枝愛香を擁する内部は26年ぶり/中学駅伝

12月14日に行われる第33回全国中学校駅伝の出場を懸けた県大会が、11月14日から16日にかけて、全国10県で行われた。 14日の岡山県大会では、2年前に全国男女優勝、女子は昨年も連覇を飾った京山が圧倒的な継走を披露。 […]

NEWS 世界クロカンU20日本代表選考会エントリー発表 新妻遼己、本田桜二郎、吉田星、真柴愛里、細見芽生ら

2025.11.19

世界クロカンU20日本代表選考会エントリー発表 新妻遼己、本田桜二郎、吉田星、真柴愛里、細見芽生ら

日本陸連は11月19日、第46回世界クロスカントリー選手権(2026年1月10日/米国・タラハシー)の男女U20日本代表代表選考会(11月30日/京都)のエントリーリストを発表した。 この選考会は世界クロカンのほかに、第 […]

NEWS 世界陸連フェアプレー賞最終候補者発表 棒高跳・カラリス、1500m・カー、3000m障害のヴァン・デ・ベルデの3名

2025.11.19

世界陸連フェアプレー賞最終候補者発表 棒高跳・カラリス、1500m・カー、3000m障害のヴァン・デ・ベルデの3名

世界陸連(WA)は11月18日、ワールド・アスレティクス・アワード2025のフェアプレー賞の最終候補者を発表した。 男子棒高跳のE.カラリス(ギリシャ)は東京世界選手権の銀メダリスト。自身の試技に臨むだけでなく、同種目の […]

NEWS エディオンDCエントリー 田中希実3年8ヵ月ぶりのトラック1万m 五島莉乃、樺沢和佳奈、高島由香、不破聖衣来も

2025.11.19

エディオンDCエントリー 田中希実3年8ヵ月ぶりのトラック1万m 五島莉乃、樺沢和佳奈、高島由香、不破聖衣来も

日本実業団連合は11月18日夜、エディオンディスタンスチャレンジin大阪2025(12月6日/大阪・ヤンマースタジアム長居)のエントリー選手を発表した。 女子10000mには田中希実(New Balance)がエントリー […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top