HOME 国内

2023.09.23

棒高跳・江島雅紀が2度の手術から1年3ヵ月ぶり涙の復帰「時間かかってももう一度」/全日本実業団
棒高跳・江島雅紀が2度の手術から1年3ヵ月ぶり涙の復帰「時間かかってももう一度」/全日本実業団

長いケガから復帰を果たした江島雅紀

◇第71回全日本実業団対抗選手権大会(9月22~24日/岐阜メモリアルセンター長良川)

全日本実業団対抗の2日目に行われた男子棒高跳に、東京五輪代表の江島雅紀(富士通)が出場。これが1年3ヵ月ぶりの試合だった。

昨年6月。日本選手権で勝利を収めた後に、オレゴン世界選手権を目指して出場した記録会で跳躍後にマット外に右足から着地、その際に右足舟状骨を骨折した。

骨が砕けるほどの重傷。「生活もままならない状況で、正直辞めようかと思ったこともあります」。寝るのも怖く、朝起きて起き上がっても痛みある。体内に金具が入っている違和感。「恐怖しかなかった」。

「秋くらいに試合に出られればと思っていた」が、治りも悪く、ボルトを抜いて右脚付け根の自分の骨を移植するため今年の3月に再手術。それでも、「もう一回跳びたい」という思いが踏みとどまらせた。

1学年上の北口榛花(JAL)、同学年のサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)、橋岡優輝(富士通)という同じダイヤモンドアスリートが世界で活躍。さらに丸山優真(住友電工)も長いケガを乗り越えて世界の舞台に立った。

広告の下にコンテンツが続きます

「同世代が活躍していたので、もう一回みんなと肩を並べたい」

今年6月にジョグを再開。8月末に跳躍練習をスタートさせた。そしてこの日、1年3ヵ月ぶりに空を舞った。4m80は5m71がベストの江島にとって記録だけ見れば低い高さだが、大きな一本。スタンドから送られた拍手が、その価値を物語っていた。江島は思わず涙した。

高校記録、U20日本記録など数々の記録を打ち立て、ジュニア期から世界で戦ってきた江島だが、「これまでで一番うれしかったかもしれません」と笑った。

「時間はかかるかもしれませんが、原点に戻って、ゼロから頑張ります。待っていてください」

ケガにより霞んだ原石をもう一度磨き上げ、前よりももっと輝くために。ポールボウルター・江島雅紀の第二章がここから始まる。

◇第71回全日本実業団対抗選手権大会(9月22~24日/岐阜メモリアルセンター長良川) 全日本実業団対抗の2日目に行われた男子棒高跳に、東京五輪代表の江島雅紀(富士通)が出場。これが1年3ヵ月ぶりの試合だった。 昨年6月。日本選手権で勝利を収めた後に、オレゴン世界選手権を目指して出場した記録会で跳躍後にマット外に右足から着地、その際に右足舟状骨を骨折した。 骨が砕けるほどの重傷。「生活もままならない状況で、正直辞めようかと思ったこともあります」。寝るのも怖く、朝起きて起き上がっても痛みある。体内に金具が入っている違和感。「恐怖しかなかった」。 「秋くらいに試合に出られればと思っていた」が、治りも悪く、ボルトを抜いて右脚付け根の自分の骨を移植するため今年の3月に再手術。それでも、「もう一回跳びたい」という思いが踏みとどまらせた。 1学年上の北口榛花(JAL)、同学年のサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)、橋岡優輝(富士通)という同じダイヤモンドアスリートが世界で活躍。さらに丸山優真(住友電工)も長いケガを乗り越えて世界の舞台に立った。 「同世代が活躍していたので、もう一回みんなと肩を並べたい」 今年6月にジョグを再開。8月末に跳躍練習をスタートさせた。そしてこの日、1年3ヵ月ぶりに空を舞った。4m80は5m71がベストの江島にとって記録だけ見れば低い高さだが、大きな一本。スタンドから送られた拍手が、その価値を物語っていた。江島は思わず涙した。 高校記録、U20日本記録など数々の記録を打ち立て、ジュニア期から世界で戦ってきた江島だが、「これまでで一番うれしかったかもしれません」と笑った。 「時間はかかるかもしれませんが、原点に戻って、ゼロから頑張ります。待っていてください」 ケガにより霞んだ原石をもう一度磨き上げ、前よりももっと輝くために。ポールボウルター・江島雅紀の第二章がここから始まる。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.05.01

東京メトロに伊東明日香が入部 「競技が続けられる環境があることに感謝」

東京メトロは5月1日、伊東明日香が入部したと発表した。今年3月31日に埼玉医科大グループを退部していた。 伊東は東京・順天高時代から全国高校駅伝に出場。東洋大進学後は全日本女子大学駅伝や富士山女子駅伝など全国大会に出走し […]

NEWS 九電工にケニア出身のキプンゲノ・ニアマイアが加入 ハーフマラソンなどロードが主戦場

2025.05.01

九電工にケニア出身のキプンゲノ・ニアマイアが加入 ハーフマラソンなどロードが主戦場

九電工は5月1日、ケニア出身のキプンゲノ・ニアマイアが同日付で加入したと発表した。 ニアマイアはケリンゲット高出身の27歳。ハーフマラソンや10kmなどロードレースを主戦場としている。自己ベストは5000m13分57秒3 […]

NEWS アディダスによるスポーツを通じたグローバルムーブメント「MOVE FOR THE PLANET」が今年も開催!

2025.05.01

アディダスによるスポーツを通じたグローバルムーブメント「MOVE FOR THE PLANET」が今年も開催!

アディダス ジャパンは、未来のスポーツ環境を支えるためのグローバルムーブメント「MOVE FOR THE PLANET(ムーブ・フォー・ザ・プラネット)」を5月12日~25日まで開催することを発表した。5月12日の計測開 […]

NEWS 水戸招待のエントリー発表! 棒高跳に柄澤智哉、山本聖途、諸田実咲ら男女トップ集結 戸邉直人、城山正太郎も出場予定

2025.04.30

水戸招待のエントリー発表! 棒高跳に柄澤智哉、山本聖途、諸田実咲ら男女トップ集結 戸邉直人、城山正太郎も出場予定

5月5日に行われる日本グランプリシリーズ第7戦「2025水戸招待陸上」のエントリー選手が発表された。男子棒高跳には東京五輪代表の山本聖途(トヨタ自動車)、江島雅紀(富士通)や世界選手権代表経験のある柄澤智哉(東京陸協)ら […]

NEWS 【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」

2025.04.30

【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」

山梨学大の上田誠仁顧問の月陸Online特別連載コラム。これまでの経験や感じたこと、想いなど、心のままに綴っていただきます! 第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」 昨年は記念大会となる第100回箱根駅伝が開催され […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL) 
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)

page top