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2023.07.04

「1年の準備が壊された」ダイヤモンドリーグでの妨害行為に批難の声 大会責任者は乱入者対策に苦慮
「1年の準備が壊された」ダイヤモンドリーグでの妨害行為に批難の声 大会責任者は乱入者対策に苦慮

欧州の競技会では観客席のすぐ目の前を選手たちが駆け抜ける。写真は18年DLストックホルム 写真/Mochizuki Jiro(Agence SHOT)

2日のダイヤモンドリーグ(DL)第7戦となった「バウハウス・ガラン」の男子400mハードルで起きた妨害行為について、選手や関係者、ファンから批判の声が相次いでいる。

男子400mハードルで選手たちが最後の直線に入った瞬間の出来事だった。スタンドにいた環境活動家がトラック内に侵入。フィニッシュラインの10m手前で横断幕を掲げてレースを妨害した。優勝したK.ワルホルム(ノルウェー)は直接の影響は受けなかったが、2番手を走っていた東京五輪8位のA.シビリオ(イタリア)は乱入者を避けるためにスピードダウンを余儀なくされ、順位を4位に落としてフィニッシュ。そのほかの選手たちも妨害の影響を大きく受けた。

ワルホルムはインタビューで「このやり方(抗議)はありえないし、腹を立てている」と憤慨。3位に入ったR.マギ(エストニア)も「このようなことは二度と経験したくない」と答えたほか、同大会の男子円盤投に出場していた東京五輪金メダリストのD.ストール(スウェーデン)も「ダイヤモンドリーグの試合中に妨害行為することはありえない」と批難している。

大会ディレクターを務めたヤン・コワルスキー氏は「1年掛けてこの大会の準備してきたが、妨害行為によって壊されてしまった。とても容認できない」とコメント。警備体制の不備を指摘する意見については、「トラックの回りに高さ3mのフェンスを設置することはできますが、それでは快適に観戦ができないでしょう。警備と観戦にはトレードオフの関係があり、難しい問題である」と今回のような妨害行為への対策に苦慮していることも明かした。

また、今回のケースではレース中のわずか10数秒の間に起った出来事であり、選手が迫っている中で妨害者を排除するための警備員がトラックに入ってしまうと、さらに危険性が高まっていた可能性があるという声もある。

「バウハウス・ガラン」や、ノルウェーのオスロで行われる「ビスレットゲームス」といったDLに指定されている競技会はともに50年以上の歴史を誇る大会であり、客席が2万人程度の規模のスタジアムで行われている。

今回の舞台になったストックホルム・オリンピック・スタジアムは1912年に完成。その年のストックホルム五輪の舞台ともなった。同五輪は日本が初めて参加した大会でもあり、男子マラソンの金栗四三が出走。19年のNHK大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」のロケ地としても使用された歴史あるスタジアムでもある。

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日本では観客スタンドが階層化されていたり、トラックとの間に跳躍ピットが設置されている競技場が多い。一方、欧州の中規模スタジアムは観客席とトラックが同じ高さであったり、スタンドを仕切るものは手すり1つという構造も珍しくない。部外者が侵入しやすいとも言えるが、反面、観客の目の前を選手が駆け抜け、レース後には選手が気軽にファンサービスを行ったりできるなど、欧州の陸上人気を支えている一面もある。

今回のアクシデントはこういった陸上文化そのものにも傷をつける行為となり、後味の悪い大会となってしまった。

2日のダイヤモンドリーグ(DL)第7戦となった「バウハウス・ガラン」の男子400mハードルで起きた妨害行為について、選手や関係者、ファンから批判の声が相次いでいる。 男子400mハードルで選手たちが最後の直線に入った瞬間の出来事だった。スタンドにいた環境活動家がトラック内に侵入。フィニッシュラインの10m手前で横断幕を掲げてレースを妨害した。優勝したK.ワルホルム(ノルウェー)は直接の影響は受けなかったが、2番手を走っていた東京五輪8位のA.シビリオ(イタリア)は乱入者を避けるためにスピードダウンを余儀なくされ、順位を4位に落としてフィニッシュ。そのほかの選手たちも妨害の影響を大きく受けた。 ワルホルムはインタビューで「このやり方(抗議)はありえないし、腹を立てている」と憤慨。3位に入ったR.マギ(エストニア)も「このようなことは二度と経験したくない」と答えたほか、同大会の男子円盤投に出場していた東京五輪金メダリストのD.ストール(スウェーデン)も「ダイヤモンドリーグの試合中に妨害行為することはありえない」と批難している。 大会ディレクターを務めたヤン・コワルスキー氏は「1年掛けてこの大会の準備してきたが、妨害行為によって壊されてしまった。とても容認できない」とコメント。警備体制の不備を指摘する意見については、「トラックの回りに高さ3mのフェンスを設置することはできますが、それでは快適に観戦ができないでしょう。警備と観戦にはトレードオフの関係があり、難しい問題である」と今回のような妨害行為への対策に苦慮していることも明かした。 また、今回のケースではレース中のわずか10数秒の間に起った出来事であり、選手が迫っている中で妨害者を排除するための警備員がトラックに入ってしまうと、さらに危険性が高まっていた可能性があるという声もある。 「バウハウス・ガラン」や、ノルウェーのオスロで行われる「ビスレットゲームス」といったDLに指定されている競技会はともに50年以上の歴史を誇る大会であり、客席が2万人程度の規模のスタジアムで行われている。 今回の舞台になったストックホルム・オリンピック・スタジアムは1912年に完成。その年のストックホルム五輪の舞台ともなった。同五輪は日本が初めて参加した大会でもあり、男子マラソンの金栗四三が出走。19年のNHK大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」のロケ地としても使用された歴史あるスタジアムでもある。 日本では観客スタンドが階層化されていたり、トラックとの間に跳躍ピットが設置されている競技場が多い。一方、欧州の中規模スタジアムは観客席とトラックが同じ高さであったり、スタンドを仕切るものは手すり1つという構造も珍しくない。部外者が侵入しやすいとも言えるが、反面、観客の目の前を選手が駆け抜け、レース後には選手が気軽にファンサービスを行ったりできるなど、欧州の陸上人気を支えている一面もある。 今回のアクシデントはこういった陸上文化そのものにも傷をつける行為となり、後味の悪い大会となってしまった。

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