2023.07.04
2日のダイヤモンドリーグ(DL)第7戦となった「バウハウス・ガラン」の男子400mハードルで起きた妨害行為について、選手や関係者、ファンから批判の声が相次いでいる。
男子400mハードルで選手たちが最後の直線に入った瞬間の出来事だった。スタンドにいた環境活動家がトラック内に侵入。フィニッシュラインの10m手前で横断幕を掲げてレースを妨害した。優勝したK.ワルホルム(ノルウェー)は直接の影響は受けなかったが、2番手を走っていた東京五輪8位のA.シビリオ(イタリア)は乱入者を避けるためにスピードダウンを余儀なくされ、順位を4位に落としてフィニッシュ。そのほかの選手たちも妨害の影響を大きく受けた。
ワルホルムはインタビューで「このやり方(抗議)はありえないし、腹を立てている」と憤慨。3位に入ったR.マギ(エストニア)も「このようなことは二度と経験したくない」と答えたほか、同大会の男子円盤投に出場していた東京五輪金メダリストのD.ストール(スウェーデン)も「ダイヤモンドリーグの試合中に妨害行為することはありえない」と批難している。
大会ディレクターを務めたヤン・コワルスキー氏は「1年掛けてこの大会の準備してきたが、妨害行為によって壊されてしまった。とても容認できない」とコメント。警備体制の不備を指摘する意見については、「トラックの回りに高さ3mのフェンスを設置することはできますが、それでは快適に観戦ができないでしょう。警備と観戦にはトレードオフの関係があり、難しい問題である」と今回のような妨害行為への対策に苦慮していることも明かした。
また、今回のケースではレース中のわずか10数秒の間に起った出来事であり、選手が迫っている中で妨害者を排除するための警備員がトラックに入ってしまうと、さらに危険性が高まっていた可能性があるという声もある。
「バウハウス・ガラン」や、ノルウェーのオスロで行われる「ビスレットゲームス」といったDLに指定されている競技会はともに50年以上の歴史を誇る大会であり、客席が2万人程度の規模のスタジアムで行われている。
今回の舞台になったストックホルム・オリンピック・スタジアムは1912年に完成。その年のストックホルム五輪の舞台ともなった。同五輪は日本が初めて参加した大会でもあり、男子マラソンの金栗四三が出走。19年のNHK大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」のロケ地としても使用された歴史あるスタジアムでもある。
日本では観客スタンドが階層化されていたり、トラックとの間に跳躍ピットが設置されている競技場が多い。一方、欧州の中規模スタジアムは観客席とトラックが同じ高さであったり、スタンドを仕切るものは手すり1つという構造も珍しくない。部外者が侵入しやすいとも言えるが、反面、観客の目の前を選手が駆け抜け、レース後には選手が気軽にファンサービスを行ったりできるなど、欧州の陸上人気を支えている一面もある。
今回のアクシデントはこういった陸上文化そのものにも傷をつける行為となり、後味の悪い大会となってしまった。
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2026.04.03
編集部コラム「3年半ぶりの宮崎と数年分の運」
2026.03.31
中央発條の小野田勇次、大津顕杜、浅岡満憲、町田康誠が退部 ニューイヤー駅伝などで活躍
-
2026.03.31
2026.03.16
GMO・吉田圭太と100mHの安達楓恋が結婚!「これからも二人で」青学大の先輩後輩
-
2026.03.31
-
2026.03.07
Latest articles 最新の記事
2026.04.03
編集部コラム「3年半ぶりの宮崎と数年分の運」
攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム?? 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。 編集スタッフが週替りで […]
2026.04.03
短距離は「個々の強化」と「リレーの実戦経験」世界リレーで男子4継など北京世界選手権出場権獲得を
日本陸連は4月3日、強化委員会の今年度強化方針に関する記者会見を開いた。 短距離を統括する前村公彦ディレクターは、「しっかりと個々の強化を進めるともに、リレーの中長期的な強化、チームとしての幅を広げながら北京世界選手権、 […]
2026.04.03
日本陸連が26年シーズンへU23強化など方針示す 最大目標はアジア大会、山崎一彦強化委員長「アジアナンバーワンへ」
日本陸連は4月3日、強化委員会の今年度強化方針に関する記者会見を開いた。 山崎一彦強化委員長は、今シーズン最大の目標として自国開催となる名古屋アジア大会での「アジアナンバーワン」になることを掲げた。 広告の下にコンテンツ […]
2026.04.03
5月30日開催のMDCに三浦龍司、久保凛、木村友香が出場! 今年からWAコンチネンタルツアー・ブロンズ大会として実施
4月3日、日本グランプリシリーズのMDC(Middle Distance Circuit)GP主催者は、5月30日に開催される大会に出場する第一弾として、男子1500mに三浦龍司(SUBARU)、女子800mに久保凛(積 […]
Latest Issue
最新号
2026年4月号 (3月13日発売)
別冊付録 記録年鑑 2025
東京マラソン、大阪マラソン、名古屋ウィメンズマラソン