UDN SPORTS提供
東京五輪の男子走幅跳で6位入賞を果たした橋岡優輝(富士通)が10月2日、中学生以下を対象としたオンライン教室「Junior Athletes Lab(ジュニア アスリーツ ラボ)」を開いた。
「満足に練習や大会が行えていない子どもたちに良い刺激を与えられる機会を作りたい」という思いから今回のオンライン教室を企画したという橋岡。参加したのは5人の小・中学生で、いずれも走幅跳に取り組んでいる選手たち。これまでトークイベントなどを開催したことはあったが、「競技的なイベントはこれが初めて」(橋岡)だという。
最初は質問コーナーからスタート。「ラスト1本でどんなことを考えていますか」という問いには「自分の力を出すことだけを考えています」。参加者は練習のことから、試合に臨むまでの流れも気になるようで、「試合前1週間の練習は?」「試合の時のルーティンは?」など、質問が跳んだ。また、競技以外でも、「好きな食べ物は?」「モテますか?」といって、小中学生ならでは愛くるしいクエスチョンも。競技面には真剣に、時には冗談を交えながら答えていた。
Q&Aコーナーの次には、あらかじめ参加者が送っていた跳躍動画を画面で共有しながら一人ひとりチェック。橋岡は身振り手振りを交えながら「助走は踏み切りに向かってリズムアップしてみて」「踏み切りでは腕を使って上がっていこう」「リードレッグをキープ」など、丁寧にポイントを伝えていた。「中学生は以下は伸びしろが大きいので、詳細にアドバイスしすぎても良くないので、ポイントを絞ることを大切にしました」と、年代に応じた答えを考えていたという。
最後に、参加者へサイン入りポストカードと愛用の入浴剤をプレゼントするサプライズも。「今日のはあくまで一つのアドバイス。鵜呑みにせず、自分の中で吸収して成長していってもらえれば」と橋岡。「こういった機会が今後、みんなにいい手助けになればうれしいです。大会であったら声をかけてください」とメッセージを送って締めくくった。
参加した柴田愛里さん(小5)は「顔も声も、全部かっこよかったです。教えてくださったことを意識してこれから頑張ろうと思いました」と笑顔。日本選手権などの活躍を見てからファンだという後藤大輔くん(中2)は「人生で一番ドキドキしました。思い出に残ります」と話し、「橋岡選手と同じステージに立ちたい」と力強く目標を掲げた。
参加者の質問に笑顔で答える橋岡(UDN SPORTS提供)
両親ともに陸上選手の橋岡が陸上を始めたのは中学に上がってから。中3の全中では四種競技で3位に入っている。「中学生の時は純粋に走るの好き、跳ぶのが好きと思って取り組んでいました」と橋岡。八王子高進学と同時に走幅跳に取り組み、高3はインターハイを含む全国タイトル3冠を果たした。日大では1年時から8mジャンパーとなり、以降はU20世界選手権、ユニバーシアードで金メダル。19年ドーハ世界選手権では8位入賞と活躍した。今春から富士通へと進み、東京五輪では6位入賞。大活躍を続けるなかでも、中学時代と変わらず「今も大事にしています」と語る。
東京五輪で膝と踵に違和感を覚えて全日本実業団対抗を棄権したが、「今はほとんど違和感がなくなってきています」。五輪で感じた「経験不足」を補うべく、2月以降に室内大会に出て、「状況次第ですが、ダイヤモンドリーグやコンチネンタルツアーなど、ヨーロッパやアメリカを数ヵ月転戦して、6月の日本選手権に帰ってくる、といったスケジュールにできれば」と来季に向けた展望を明かす。1人で海外遠征、転戦といった流れも予想されるが、「海外選手と顔見知りになれるくらいになりたい。心配はありません。強くなるなので」と力強い。冬季は例年通り、それ以上に「基礎的なところをレベルアップ」しながら、「新しいことにチャレンジする機会にしてみたい」と話した。
橋岡は「うれしそうな顔が見られてよかったです。アドバイスすることで、客観視して気付きにもなりました」と振り返り、コロナ禍によって「競技場で会うことも減りました。僕らは応援があってこそ頑張れます。こういった時に恩返したい」と教室開催への思いを語った。ファンと直接交流する機会に「楽しかったです。またいろいろ企画していきたい」と橋岡。「コロナ禍で難しい状況ですが、活躍しますので、コロナ禍が少し落ち着いたら応援にきてください」とファンに向けてメッセージを伝えていた。
UDN SPORTS提供
■参加者の声
山岸未來さん(やまぎし・みく/中2)
「初めは緊張しましたが、アドバイスをもらえてうれしかったです。手と脚が合っていないというアドバイスを生かして記録を伸ばしていきたいです」
柴田愛里さん(しばた・あいり/小5)
「声も顔も、全部かっこよかったです。たくさん跳べるところを尊敬しています。アドバイスしていただいたところを練習してもっと頑張ります」
呉山奏音くん(くれやま・かなと/中1)
「目線の位置のアドバイスが印象に残りました。橋岡選手や代表選手のマネをして頑張っていきます」
下西優摩くん(しもにし・ゆうま/小6)
「大会で悔しい思いをして悩んでいましたが、今日、改善点をもらって『変えればもっとできる』と思えて勇気をもられました」
後藤大輔くん(ごとう・だいすけ/中2)
「人生で一番ドキドキしました。思い出に残ります。まだまだいろいろ改善点があるんだなと思ったので修正していきたいです」



RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.08.25
ダイヤモンドリーグ・ファイナルのエントリー発表 北口榛花が4年連続、村竹ラシッドは初
2025.08.25
日本選手権の失格取り消しとなった佐藤風雅所属のミズノ「真摯に対応していただいた」
-
2025.08.25
-
2025.08.25
-
2025.08.25
2025.08.19
15年ぶりの箱根総合優勝へ 早大駅伝主将・山口智規「夏合宿で底上げを」 妙高で合同取材会
-
2025.08.24
2025.08.16
100mH・福部真子12秒73!!ついに東京世界選手権参加標準を突破/福井ナイトゲームズ
-
2025.08.19
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.08.25
ダイヤモンドリーグ・ファイナルのエントリー発表 北口榛花が4年連続、村竹ラシッドは初
世界最高峰シリーズのダイヤモンドリーグ(DL)のレギュラーシリーズが終了し、スイス・チューリヒで行われるファイナルのエントリーが確定した。 女子やり投の北口榛花(JAL)は4年連続の進出。シーズンベストは64m63だが、 […]
2025.08.25
100m・菅野翔唯が10秒31で優勝! 女子200m・野見山寧祢、女子400m・今峰紗希もV/日韓中ジュニア交流競技会
◇第33回日・韓・中ジュニア交流競技会(8月25・27日/中国・内モンゴル自治区)1日目 各国の高校生世代が集う「日・韓・中ジュニア交流競技会」が行われ、男子100mは菅野翔唯(東農大二2群馬)が10秒31で優勝した。 […]
2025.08.25
日本選手権の失格取り消しとなった佐藤風雅所属のミズノ「真摯に対応していただいた」
日本選手権の男子400m決勝で1着入線のあと、曲走路においてラインの内側を走行したとして失格の判定が下っていた佐藤風雅(ミズノ)の競技結果が再審議の結果、失格が取り消されて優勝となったことについて、所属先のミズノがコメン […]
2025.08.25
佐藤風雅の失格取り消しについて日本陸連が経緯説明「踵がラインを踏んでいる」は「踏み越えていない」再発防止へルール理解の徹底図る
日本陸連は8月25日、第109回日本選手権(7月4日~6日)の男子400m決勝でトップでフィニッシュした佐藤風雅(ミズノ)が失格と裁定されたことについて、ジュリーによる再審議の結果、取り消しとなったことを発表した。 その […]
2025.08.25
日本選手権男子400mの結果が訂正 佐藤風雅がレーン侵害で失格から優勝へ 今泉が2位
日本陸連は8月25日、7月に行われた日本選手権男子400mの結果を訂正したことを発表し、佐藤風雅(ミズノ)が45秒28で優勝、今泉堅貴(内田洋行AC)が45秒29で2位となった。 実際のレースでも、速報では上記の結果が出 […]
Latest Issue
最新号

2025年9月号 (8月12日発売)
衝撃の5日間
広島インターハイ特集!
桐生祥秀 9秒99