2026.06.15
6月13日に愛知県名古屋市のパロマ瑞穂スタジアムで行われた第110回日本選手権の男子200mは、水久保漱至(宮崎県スポ協)が予選で日本歴代2位の20秒07(+0.5)をマークし、決勝も20秒14(+0.6)と好タイムをそろえて初優勝を優勝を飾り、アジア大会代表に内定した。2008年北京五輪男子4×100mリレー銀メダリストの高平慎士さん(富士通一般種目ブロック長)に、レースを振り返ってもらった。
◇ ◇ ◇
水久保漱至選手は、200m選手としての地盤が固まった可能性があると感じさせられた予選、決勝の走りでした。
この2本で感じたことは、昨年までのようながむしゃらさがなくなったということ。特に、コーナーから直線に抜けてくる局面が非常にスムーズになりました。「さぁ、直線!」と切り替えるのではなく、動きが変わらずにでも推進力を保ったまま回れているようなイメージです。200m全体をまとめられるようになったことが、今回のタイムにつながったのではないでしょうか。もちろん、トップスピードが上がっていなければ、あのタイムが出ないということは言うまでもありません。
そのうえで、予選の走りを決勝で「再現」できたことが素晴らしいです。記録を狙いにいって、後半の動きがバラバラになっていたのはもったいなかった気がしますし、冷静に走れるようになることが今後の課題。それでも、20秒1台前後をそろえてケガをせずに終われたのは、故障のアクシデントが多かった水久保選手にとってはポジティブに捉えらる要素です。また、2位との差を予選(0.29秒)から決勝(0.45秒)でさらに広げたことで、予選の記録の価値がより高まりました。
これで、今回は欠場となりましたが第一人者の鵜澤飛羽選手(JAL)とガチンコ勝負ができ、勝てる要素があるぐらいの底力を示したと言えます。日本選手権決勝という「勝たないといけない場」重圧の中で、このタイムを出した勝ったことがその証明となります。
今後は、鵜澤選手のように継続して結果を出していけるかが課題でしょう。国際大会でいかに活躍するかを目指していく段階に入ったと思いますが、それを2028年ロサンゼルス五輪まで継続できるか。鵜澤選手とともに、この種目を引っ張っていってほしいですね。
20秒59で2位だった林明良選手(慶大)は、予選で20秒36(+0.5)を出しました。関東インカレ(男子1部)でも優勝を飾るなど、今季は勢いがあります。4年生ですから、競技を継続するのかどうかが気になるところですが、20秒3台の再現性が高まれば、2人を追う位置に食い込んでいけるはずです。
これは今大会のファイナリストや、好タイムを出している選手たち全員にも言えることですが、「再現性」は常に大事にやっていくべき。200mに関しては毎年のように決勝で勝負をしている選手が近年は少なくなっています。
今回はケガの影響で飯塚翔太選手(ミズノ)が予選で敗退しましたが、飯塚選手が実力で残れないような水準になり、日本の4×100mリレーメンバーに200mの選手が食い込んでいく状況を作ることができれば、100mと同様におもしろい勝負が展開されていくでしょう。もちろん、飯塚選手はまだまだ健在ぶりを発揮していくと思うので、彼が手本を示している間に、中堅、若手のさらなる奮起を期待したいです。
日本選手権は3日間開催の関係上、100mと200mを兼ねるのは難しい状況にあります。ただ、だからといって国際大会で2種目を兼ねられるかというと、今の日本のレベルではどちらかに絞らないと勝負はできないでしょう。
アジア大会は、今回しっかりと実績が積めたパロマ瑞穂スタジアムが舞台。世界との勝負を挑むためにも、200mについては日本勢3連覇を達成することが大きなステップになると感じています。
◎高平慎士(たかひら・しんじ)
富士通陸上競技部一般種目ブロック長。五輪に3大会連続(2004年アテネ、08年北京、12年ロンドン)で出場し、北京大会では4×100mリレーで銀メダルに輝いた(3走)。自己ベストは100m10秒20、200m20秒22(日本歴代7位)
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