2025.08.29

今年9月、陸上の世界選手権(世界陸上)が34年ぶりに東京・国立競技場で開催される。今回で20回目の節目を迎える世界陸上。日本で開催されるのは1991年の東京、2007年の大阪を含めて3回目で、これは同一国で最多だ。
これまで数々のスーパースター、名勝負が生まれた世界陸上の各大会の様子を紹介する『世界陸上プレイバック』。2022年に米国のオレゴンで行われた第18回大会を振り返る。
デュプランティスが世界新Vでフィナーレ飾る
陸上大国・米国での開催は初めてのことで、オレゴン大学のキャンパス内にある米国陸上の“聖地”ヘイワード・フィールドが舞台となった。当初は21年に開催される予定だったが、新型コロナウイルスの影響により、20年に開催予定だった東京五輪が21年に延期。それに伴い、オレゴン大会も22年に開催される運びとなった。
今大会のフィナーレを世界新で飾ったのが男子棒高跳のアルマンド・デュプランティス(スウェーデン)。6m21で自身の世界記録を更新し、大会初優勝を果たした。
同年3月の世界室内選手権で6m20の世界記録を樹立していたデュプランティス。6m00をただ1人成功させて優勝を決めると、大会記録を1cm上回る6m06も1回で成功させた。
そして、世界記録への挑戦が始まる。1回目は失敗だったが、この間にトラック最終種目の4×400mリレーが行われ、地元の米国が男女で優勝を飾り、会場のボルテージは最高潮に達していた。会場中の視線は大会の最終競技者となったデュプランティスただ1人に注がれた。多くの観客が固唾を呑んで見守るなか、2回目で見事に成功。通算5回目の世界新記録を大舞台で打ち立て、歴史に名を刻んだ。
初の自国開催となった米国は金メダル13、史上最多となる33のメダル獲得と躍動。男子100m、200mでは表彰台を独占。100mはフレッド・カーリーが9秒86(-0.1)で初タイトルを獲得し、マーヴィン・ブレイシー、トレイヴォン・ブロメルが続いた。200mではノア・ライルズが世界歴代3位となる19秒31の大会新記録で連覇。ケニー・ベドナレクが19秒77で2位、エリヨン・ナイトンが19秒80で3位に入った。
女子400mハードルではシドニー・マクローリン(米国)が50秒68の世界新で初V。前年の東京五輪を世界新で優勝し、大会1ヵ月前の全米選手権では自身の世界記録を更新していたマクローリン。決勝は前回覇者のダリラ・ムハンマド(米国)、東京五輪3位のフェムケ・ボル(オランダ)らを前半から圧倒。ホームストレートに入っても、スピードを落とすことなく、そのままフィニッシュラインを駆け抜け、女子選手未踏の「50秒台」に突入した。
このシーズン限りでの現役引退を表明していた女子短距離のレジェンド、アリソン・フェリックスは女子4×400mリレー、男女混合4×400mリレーに出場。大会初日の男女混合4×400mリレーは決勝で2走を務め、銅メダル獲得。女子4×400mリレーは予選のみの出走だったが、決勝は3分17秒79で圧勝し、14個目の金メダル、通算20個目のメダルを手にした。
女子短距離ではジャマイカ勢が強さを見せた。200mではシェリカ・ジャクソンが世界記録に0.11秒まで迫る世界歴代2位の21秒45(+0.6)で優勝。100mは35歳のシェリーアン・フレイザー・プライスが大会新の10秒67(+0.8)で2大会連続5度目の優勝を成し遂げた。ジャクソンが当時世界歴代7位タイの10秒73、東京五輪女王のエライン・トンプソン・ヘラーが10秒81で3位となり、東京五輪に続きメダルを独占した。
女子100mハードルはトビ・アムサン(ナイジェリア)が準決勝で世界記録を0.08秒も更新する12秒12(+0.9)をマーク。決勝では追い風2.5mの参考記録ながら12秒06と驚異的なタイムで自身初の世界タイトルを獲得した。
男子ハンマー投はパウェル・ファイデク(ポーランド)が81m98で5連覇を達成。個人種目での5連覇は男子棒高跳で第1回大会から6連覇したセルゲイ・ブブカ(ウクライナ/ソ連)に続く史上2人目だった。男子400mハードルではアリソン・ドス・サントス(ブラジル)が29年ぶりの大会新となる46秒29で初の世界一に輝いた。男子円盤投を制したクリスチャン・チェー(スロベニア)は、71m13の大会新で制している。
北口が最終投てきで大逆転メダル
日本からは男子39選手、女子24選手が出場。金メダル1つ、銀メダル2つ、銅メダル1つを含む過去最多タイの入賞9を記録した。
女子やり投は北口榛花(JAL)が63m27で銅メダルを獲得。日本に本女子フィールド種目で初のメダルをもたらした。
予選では1投目から64m32をマークし、全体トップで決勝進出を決めた。決勝は1回目に62m07を投げ、3位でトップ8へ進むも、4投目は61m27、5回目はファウルにとどまり、5回目終了時点で5位に順位を落としていた。そして迎えた最終6回目。渾身の一投で、メダルラインの63m22を5㎝上回る63m27で2位に浮上する。その後、順位を1つ落としたが、4位と2㎝差でメダルを死守した。

女子やり投銅メダルを獲得した北口榛花
男子100mは日本人初のファイナルに進んだサニブラウン・アブデル・ハキーム(タンブルウィードTC)が、10秒06(-0.1)で7位に入った。
17年から米国を拠点にしているサニブラウン。予選は自身3度目となる9秒台(9秒98/-0.3)で1着通過。準決勝は10秒05(+0.3)で3着ながらプラス通過で決勝進出を決めた。決勝は中盤まで上位争いを繰り広げ、後半は徐々に離され7位。男子100mにおいて、世界陸上では日本人初、五輪を含めると1932年ロサンゼルス五輪で6位の吉岡隆徳以来、90年ぶりの入賞という快挙だった。
男子20km競歩では山西利和(愛知製鋼)が1時間19分07秒で2連覇を達成。池田向希(旭化成)1時間19分14秒で2位となり、日本では初めて同一種目で金、銀メダルを占めた。住所大翔(順大院)も1時間20分39秒で8位に入り、トリプル入賞を果たした。
40分33秒で10kmを通過すると、山西がペースアップ。残り3kmの時点で優勝争いは山西と池田の一騎打ちに。18kmで池田が先頭に立って仕掛けるも、山西は冷静に対応。残り1kmで山西が強烈なスパートを放ち勝負あり。日本人初の大会連覇を達成した。
50km競歩に変わって新たに実施された35km競歩の男子では川野将虎(旭化成)が2時間23分15秒で銀メダルを獲得。優勝したマッシモ・スタノ(イタリア)とはわずか1秒差の大激戦だった。
松永大介(富士通)が序盤から飛び出すなか、川野は2位集団でレースを進める。21km手前で集団が松永を吸収すると、先頭集団は徐々に絞られ、残り2kmの時点で優勝争いは川野と東京五輪20km競歩金メダリストのスタノに絞られた。
残り1kmでスタノがスパートし、川野も懸命に食らいつくが、なかなか前に出ることができない。最後の最後まで予断を許さないレースはスタノがわずかに先着。川野は惜しくも初代王者とはならなかったが、五輪金メダリスト相手に堂々の好勝負を演じた。
男子4×400mリレーではアジア新記録となる2分59秒51で4位。佐藤風雅(那須環境)、川端魁人(中京大クラブ)、ウォルシュ・ジュリアン(富士通)、中島佑気ジョセフ(東洋大)のオーダーで過去最高順位を更新した。
女子20km競歩では藤井菜々子(エディオン)が1時間29分01秒で6位。前回から順位を1つ上げて、2大会連続入賞。男子走高跳の真野友博(九電工)は2m27で8位に入り、この種目で日本人初入賞を達成した。
女子100mハードルの福部真子(日本建設工業)は準決勝で組7着ながら、12秒82(+0.9)の日本新記録を樹立。女子4×100mリレーは青木益未(七十七銀行)、君島愛梨沙(土木管理総合)、兒玉芽生(ミズノ)、御家瀬緑(住友電工)が43秒33で11年ぶりの日本新をマークしている。
デュプランティスが世界新Vでフィナーレ飾る
陸上大国・米国での開催は初めてのことで、オレゴン大学のキャンパス内にある米国陸上の“聖地”ヘイワード・フィールドが舞台となった。当初は21年に開催される予定だったが、新型コロナウイルスの影響により、20年に開催予定だった東京五輪が21年に延期。それに伴い、オレゴン大会も22年に開催される運びとなった。 今大会のフィナーレを世界新で飾ったのが男子棒高跳のアルマンド・デュプランティス(スウェーデン)。6m21で自身の世界記録を更新し、大会初優勝を果たした。 同年3月の世界室内選手権で6m20の世界記録を樹立していたデュプランティス。6m00をただ1人成功させて優勝を決めると、大会記録を1cm上回る6m06も1回で成功させた。 そして、世界記録への挑戦が始まる。1回目は失敗だったが、この間にトラック最終種目の4×400mリレーが行われ、地元の米国が男女で優勝を飾り、会場のボルテージは最高潮に達していた。会場中の視線は大会の最終競技者となったデュプランティスただ1人に注がれた。多くの観客が固唾を呑んで見守るなか、2回目で見事に成功。通算5回目の世界新記録を大舞台で打ち立て、歴史に名を刻んだ。 初の自国開催となった米国は金メダル13、史上最多となる33のメダル獲得と躍動。男子100m、200mでは表彰台を独占。100mはフレッド・カーリーが9秒86(-0.1)で初タイトルを獲得し、マーヴィン・ブレイシー、トレイヴォン・ブロメルが続いた。200mではノア・ライルズが世界歴代3位となる19秒31の大会新記録で連覇。ケニー・ベドナレクが19秒77で2位、エリヨン・ナイトンが19秒80で3位に入った。 女子400mハードルではシドニー・マクローリン(米国)が50秒68の世界新で初V。前年の東京五輪を世界新で優勝し、大会1ヵ月前の全米選手権では自身の世界記録を更新していたマクローリン。決勝は前回覇者のダリラ・ムハンマド(米国)、東京五輪3位のフェムケ・ボル(オランダ)らを前半から圧倒。ホームストレートに入っても、スピードを落とすことなく、そのままフィニッシュラインを駆け抜け、女子選手未踏の「50秒台」に突入した。 このシーズン限りでの現役引退を表明していた女子短距離のレジェンド、アリソン・フェリックスは女子4×400mリレー、男女混合4×400mリレーに出場。大会初日の男女混合4×400mリレーは決勝で2走を務め、銅メダル獲得。女子4×400mリレーは予選のみの出走だったが、決勝は3分17秒79で圧勝し、14個目の金メダル、通算20個目のメダルを手にした。 女子短距離ではジャマイカ勢が強さを見せた。200mではシェリカ・ジャクソンが世界記録に0.11秒まで迫る世界歴代2位の21秒45(+0.6)で優勝。100mは35歳のシェリーアン・フレイザー・プライスが大会新の10秒67(+0.8)で2大会連続5度目の優勝を成し遂げた。ジャクソンが当時世界歴代7位タイの10秒73、東京五輪女王のエライン・トンプソン・ヘラーが10秒81で3位となり、東京五輪に続きメダルを独占した。 女子100mハードルはトビ・アムサン(ナイジェリア)が準決勝で世界記録を0.08秒も更新する12秒12(+0.9)をマーク。決勝では追い風2.5mの参考記録ながら12秒06と驚異的なタイムで自身初の世界タイトルを獲得した。 男子ハンマー投はパウェル・ファイデク(ポーランド)が81m98で5連覇を達成。個人種目での5連覇は男子棒高跳で第1回大会から6連覇したセルゲイ・ブブカ(ウクライナ/ソ連)に続く史上2人目だった。男子400mハードルではアリソン・ドス・サントス(ブラジル)が29年ぶりの大会新となる46秒29で初の世界一に輝いた。男子円盤投を制したクリスチャン・チェー(スロベニア)は、71m13の大会新で制している。北口が最終投てきで大逆転メダル
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