2025.07.18
今年9月、陸上の世界選手権(世界陸上)が34年ぶりに東京・国立競技場で開催される。今回で20回目の節目を迎える世界陸上。日本で開催されるのは1991年の東京、2007年の大阪を含めて3回目で、これは同一国で最多だ。
これまで数々のスーパースター、名勝負が生まれた世界陸上の各大会の様子を紹介する『世界陸上プレイバック』。2013年にロシアのモスクワで行われた第14回大会を振り返る。
イシンバエワが3大会ぶりの金
地元開催の世界陸上で有終の美を飾ったのが女子棒高跳のエレーナ・イシンバエワ(ロシア)。世界記録を28回(屋外15回、室内13回)更新し、世界大会で4つの金メダルを獲得したレジェンドは、大会のロゴマークにもなるなど、ロシアを象徴する選手であった。
しかし、2009年のベルリン大会は記録なし、2011年のテグ大会は6位。前年のロンドン五輪も銅メダルに終わっており、31歳で迎える今大会が最後の世界大会になると表明していた。4m65から競技を始め、1回目は失敗するも2回目でクリア。続いて4m75を一発で成功させると、4m82は2回目でクリアした。
この時点で残っていたのがイシンバエワと前年のロンドン五輪金メダリストであるジェニファー・サー(米国)、同銀メダルのヤリスレイ・シルバ(キューバ)の3人。イシンバエワは4m89を1回目でクリアした一方、サーとシルバはこの高さを跳ぶことができず、イシンバエワが2007年の大阪大会以来、3大会ぶりの3回目の金メダルを獲得した。
優勝を決めた後、自身の持つ世界記録の更新を目指して5m07に挑戦したがクリアとはならず。それでも、地元のスターの活躍に会場は大いに湧いた。
スプリント種目ではジャマイカ勢がメダルを席巻。男子はウサイン・ボルト、女子はシェリー・アン・フレイザー・プライスがそれぞれ100m、200m、4×100mリレーで3冠を達成した。フレイザー・プライスが4走を務めた女子4×100mリレーは1997年のアテネ大会で米国がマークした41秒47の大会記録を上回る41秒29をマークしている。
ボルトは前回の100mでまさかのフライング失格となり、3大会連続3冠は逃したが、通算で8個目の金メダルを獲得し、カール・ルイス、マイケル・ジョンソン、アリソン・フェリックス(いずれも米国)の最多記録に並んだ。女子短距離の3冠はフレイザー・プライスが史上初の快挙だった。
男子走高跳ではボーダン・ボンダレンコ(ウクライナ)が当時・世界歴代3位となる2m41で優勝。世界記録保持者のハビエル・ソトマヨル(キューバ)が1993年のシュトゥットガルト大会で記録した2m40の大会記録を更新した。
男子三段跳はテディ・タムゴー(フランス)が当時世界歴代3位となる18m04(+0.3)の好記録で優勝。女子ハンマー投を制したタチアナ・リセンコ(ロシア)は当時世界歴代2位となる78m80をマークしたが、2016年にドーピングが発覚して、優勝は取り消されている。繰り上がりでアニタ・ヴォダルチク(ポーランド)が78m46の大会新記録で優勝となった。
女子砲丸投のヴァレリー・アダムズ(ニュージーランド)は20m88で女子選手初となる4連覇の偉業を達成。男子3000m障害ではエゼキエル・ケンボイ(ケニア)が熾烈なスパート合戦を制し、8分06秒01で3連覇を果たした。
男子長距離のモハメド・ファラー(英国)はロンドン五輪に続いて5000mと10000mの2冠。5000mは連覇となった。五輪と世界選手権でこの2種目の2冠を達成したのはケネニサ・ベケレ(エチオピア)以来2人目だった。
福士加代子が粘りの走りで銅メダル
日本からは男子33選手、女子12選手が出場。メダル1を含め、過去最多タイとなる入賞8の結果を残した。
5回目の出場で、過去4度トラックで出場していた女子長距離の福士加代子(ワコール)がマラソンでは初出場。2時間27分45秒で銅メダルを獲得した。木﨑良子(ダイハツ)が2時間31分28秒で4位に入って、2人入賞を果たした。
レースは15kmの段階で先頭集団が8人に絞られるサバイバルレース。福士は先頭集団につき、木﨑は後ろから徐々に順位を上げるレースを展開した。
福士は30km手前で先頭集団から遅れて単独4位になるも35km過ぎにメセレク・メルカム(エチオピア)を抜いて3位に浮上。そのまま順位を守り抜いて競技場に戻って来ると、観客の声援に笑顔で応えながらフィニッシュした。
木﨑も早々に先頭集団から遅れる中で粘り強いレースを披露。日本勢が存在感を示すレースとなった。
男子マラソンは中本健太郎(安川電機)が2時間10分50秒で5位。前年のロンドン五輪6位の実力を発揮した。同種目での世界大会2年連続入賞は、03年パリ世界陸上、04年アテネ五輪でともに5位だった油谷繁(中国電力)以来3人目の偉業だった。
男子20km競歩では西塔拓己(東洋大)が1時間22分09秒で5位。20歳4ヵ月での入賞は個人種目における日本人最年少記録を更新した。
男子ハンマー投では前回覇者の室伏広治(ミズノ)が78m03で5位、女子10000mの新谷仁美(ユニバーサルエンターテインメント)は30分56秒70で5位と健闘した。
男子4×100mリレーは世界デビューとなった当時17歳、洛南高3年の桐生祥秀が1走を担当。そこから藤光謙司(ゼンリン)、髙瀬慧(富士通)、飯塚翔太(中大)とつないだオーダーで、38秒39で6位入賞を果たした。
男子棒高跳では山本聖途(中京大)が5m75で6位。こちらは21歳5ヵ月でフィールド種目での日本人最年少入賞者となった。
男子50km競歩では谷井孝行(SGホールディングスグループ)が3時間44分26秒で2大会連続の8位入賞となった。
今年9月、陸上の世界選手権(世界陸上)が34年ぶりに東京・国立競技場で開催される。今回で20回目の節目を迎える世界陸上。日本で開催されるのは1991年の東京、2007年の大阪を含めて3回目で、これは同一国で最多だ。
これまで数々のスーパースター、名勝負が生まれた世界陸上の各大会の様子を紹介する『世界陸上プレイバック』。2013年にロシアのモスクワで行われた第14回大会を振り返る。
イシンバエワが3大会ぶりの金
地元開催の世界陸上で有終の美を飾ったのが女子棒高跳のエレーナ・イシンバエワ(ロシア)。世界記録を28回(屋外15回、室内13回)更新し、世界大会で4つの金メダルを獲得したレジェンドは、大会のロゴマークにもなるなど、ロシアを象徴する選手であった。
しかし、2009年のベルリン大会は記録なし、2011年のテグ大会は6位。前年のロンドン五輪も銅メダルに終わっており、31歳で迎える今大会が最後の世界大会になると表明していた。4m65から競技を始め、1回目は失敗するも2回目でクリア。続いて4m75を一発で成功させると、4m82は2回目でクリアした。
この時点で残っていたのがイシンバエワと前年のロンドン五輪金メダリストであるジェニファー・サー(米国)、同銀メダルのヤリスレイ・シルバ(キューバ)の3人。イシンバエワは4m89を1回目でクリアした一方、サーとシルバはこの高さを跳ぶことができず、イシンバエワが2007年の大阪大会以来、3大会ぶりの3回目の金メダルを獲得した。
優勝を決めた後、自身の持つ世界記録の更新を目指して5m07に挑戦したがクリアとはならず。それでも、地元のスターの活躍に会場は大いに湧いた。
スプリント種目ではジャマイカ勢がメダルを席巻。男子はウサイン・ボルト、女子はシェリー・アン・フレイザー・プライスがそれぞれ100m、200m、4×100mリレーで3冠を達成した。フレイザー・プライスが4走を務めた女子4×100mリレーは1997年のアテネ大会で米国がマークした41秒47の大会記録を上回る41秒29をマークしている。
ボルトは前回の100mでまさかのフライング失格となり、3大会連続3冠は逃したが、通算で8個目の金メダルを獲得し、カール・ルイス、マイケル・ジョンソン、アリソン・フェリックス(いずれも米国)の最多記録に並んだ。女子短距離の3冠はフレイザー・プライスが史上初の快挙だった。
男子走高跳ではボーダン・ボンダレンコ(ウクライナ)が当時・世界歴代3位となる2m41で優勝。世界記録保持者のハビエル・ソトマヨル(キューバ)が1993年のシュトゥットガルト大会で記録した2m40の大会記録を更新した。
男子三段跳はテディ・タムゴー(フランス)が当時世界歴代3位となる18m04(+0.3)の好記録で優勝。女子ハンマー投を制したタチアナ・リセンコ(ロシア)は当時世界歴代2位となる78m80をマークしたが、2016年にドーピングが発覚して、優勝は取り消されている。繰り上がりでアニタ・ヴォダルチク(ポーランド)が78m46の大会新記録で優勝となった。
女子砲丸投のヴァレリー・アダムズ(ニュージーランド)は20m88で女子選手初となる4連覇の偉業を達成。男子3000m障害ではエゼキエル・ケンボイ(ケニア)が熾烈なスパート合戦を制し、8分06秒01で3連覇を果たした。
男子長距離のモハメド・ファラー(英国)はロンドン五輪に続いて5000mと10000mの2冠。5000mは連覇となった。五輪と世界選手権でこの2種目の2冠を達成したのはケネニサ・ベケレ(エチオピア)以来2人目だった。
福士加代子が粘りの走りで銅メダル
日本からは男子33選手、女子12選手が出場。メダル1を含め、過去最多タイとなる入賞8の結果を残した。
5回目の出場で、過去4度トラックで出場していた女子長距離の福士加代子(ワコール)がマラソンでは初出場。2時間27分45秒で銅メダルを獲得した。木﨑良子(ダイハツ)が2時間31分28秒で4位に入って、2人入賞を果たした。
レースは15kmの段階で先頭集団が8人に絞られるサバイバルレース。福士は先頭集団につき、木﨑は後ろから徐々に順位を上げるレースを展開した。
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女子マラソンで福士加代子が銅メダル[/caption]
福士は30km手前で先頭集団から遅れて単独4位になるも35km過ぎにメセレク・メルカム(エチオピア)を抜いて3位に浮上。そのまま順位を守り抜いて競技場に戻って来ると、観客の声援に笑顔で応えながらフィニッシュした。
木﨑も早々に先頭集団から遅れる中で粘り強いレースを披露。日本勢が存在感を示すレースとなった。
男子マラソンは中本健太郎(安川電機)が2時間10分50秒で5位。前年のロンドン五輪6位の実力を発揮した。同種目での世界大会2年連続入賞は、03年パリ世界陸上、04年アテネ五輪でともに5位だった油谷繁(中国電力)以来3人目の偉業だった。
男子20km競歩では西塔拓己(東洋大)が1時間22分09秒で5位。20歳4ヵ月での入賞は個人種目における日本人最年少記録を更新した。
男子ハンマー投では前回覇者の室伏広治(ミズノ)が78m03で5位、女子10000mの新谷仁美(ユニバーサルエンターテインメント)は30分56秒70で5位と健闘した。
男子4×100mリレーは世界デビューとなった当時17歳、洛南高3年の桐生祥秀が1走を担当。そこから藤光謙司(ゼンリン)、髙瀬慧(富士通)、飯塚翔太(中大)とつないだオーダーで、38秒39で6位入賞を果たした。
男子棒高跳では山本聖途(中京大)が5m75で6位。こちらは21歳5ヵ月でフィールド種目での日本人最年少入賞者となった。
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