2023.08.18
8月19日から始まるブダペスト世界陸上のみどころをチェック! ここでは世界の超人たちを紹介する。
今大会最大のスター選手は、やはり男子棒高跳のアルマンド・デュプランティス(スウェーデン)だ。
前回のオレゴン大会の記憶はいまだ鮮明に残る。大会最終日、トラック最終種目の4×400mリレーが終わり、残るはデュプランティスの6m21の世界新記録挑戦のみ。スタジアムの視線を一身に受け、見事にクリアするという最高の演出でフィナーレを飾った。
連覇に向けて、2月末には室内で自身の世界記録を1cm更新する6m22に成功。屋外でも、7月21日のダイヤモンドリーグ(DL)・モナコ大会で4位と不覚を取った以外は、別次元のジャンプを披露してきた。今大会は決勝が8日目(8月26日)に組み込まれたため、前回のようなシチュエーションとはならないが、世界新Vの再現は大いに期待できる。
このデュプランティス以上に、今季に入って世界に衝撃を与え続けてきたのが女子中長距離のフェイス・キピエゴン(ケニア)だ。
6月から7月にかけて、わずか50日の間に1500m(3分49秒11)、5000m(14分05秒20)、1マイル(4分07秒64)の世界新記録を打ち立てた。そして、今大会では史上初の1500m、5000mの2冠に挑む。
加えて、強力なライバルの参戦が注目度をより一層高めることになった。シファン・ハッサン(オランダ)が2019年ドーハ世界陸上、21年東京五輪に続く1500m、5000m、10000mの3種目挑戦を表明。ドーハでは1500mでキピエゴンに競り勝ち、10000mとの2冠を達成した。東京五輪では5000mと10000mの2種目を制したものの、1500mはキピエゴンが勝利している。前回の5000mと10000mで頂点に立ったグダフ・ツェガイ、レテセンベト・ギデイらエチオピア勢を交え、史上最高レベルの激闘が繰り広げられるのは間違いない。
続く注目種目は男子400mハードルだ。45秒94の世界記録を保持するカールステン・ワルホルム(ノルウェー)が2大会ぶり金メダルへ、今季は絶好調。
前回はシーズン初戦にケガをした影響で、7位にとどまった。その雪辱へ、今季は6月のDLオスロでセカンドベスト、パフォーマンス世界歴代4位の46秒52をマークすると、7月のDLモナコは46秒51に短縮。世界新への自信をのぞかせる。
世界歴代2位の46秒17を持つライ・ベンジャミン(米国)、前回大会を世界歴代3位の46秒29で制したアリソン・ドス・サントス(ブラジル)とのライバル対決から、再び大記録が生まれるかもしれない。
フレイザー・プライス、インゲブリグトセンらが「東欧のパリ」を沸かせる
「勝負」の点では、やはり男女スプリントが見逃せない。男子は米国勢、女子はジャマイカ勢を軸に、若手も絡んだ熱戦が繰り広げられそうだ。 男子は100m、200mそれぞれで地元Vを飾ったフレッド・カーリー、ノア・ライルズが中心。なかでもライルズが、15年北京大会のウサイン・ボルト(ジャマイカ)以来の2冠、さらにはボルトが持つ200mの世界記録(19秒19)更新に並々ならぬ意欲を見せている。 100mは東京五輪でも銀メダルを獲得したカーリーが一枚上手だが、3連覇が懸かる200mは前回大会を世界歴代3位、米国新の19秒31で制覇。日本の漫画『ドラゴンボール』の大ファンという26歳が、新たな時代を作る可能性はある。 20歳のレツィレ・テボゴ(ボツワナ)、19歳のエリヨン・ナイトン(米国)といった若手の台頭なるかにも注目。男子400mはスティーブン・ガーディナー(バハマ)と、ウエイド・ファン・ニーケアク(南アフリカ)の「新旧五輪王者対決」が見逃せない。 女子では100mで3大会連続6度目の優勝を狙って調子を上げてきたシェリーアン・フレイザー・プライス、前回大会の200mを世界歴代2位の21秒45で制したシェリカ・ジャクソンのジャマイカ・コンビが、今回もV争いの中心となる。シャカリ・リチャードソン、ガブリエル・トーマスら米国勢、マリー・ジョセ・タルー(コートジボワール)も好調で、ハイレベルの熱戦が繰り広げられそうだ。 男子3000m障害は東京五輪、オレゴン世界陸上を連覇したソフィアン・エル・バッカリ(モロッコ)と、6月に7分52秒11の世界新記録を樹立したラメチャ・ギルマ(エチオピア)が激突。男子中長距離は1500m、5000mの2冠を狙うヤコブ・インゲブリグトセン(ノルウェー)を中心に、どの種目も最後まで手に汗握るデッドヒートが繰り広げられるだろう。男子円盤投でも前回王者のクリスチャン・チェー(スロベニア)、東京五輪覇者のダニエル・ストール(スウェーデン)、19歳のマイコラス・アレクナ(リトアニア)が70m超えの激闘を予感させる。 「記録」に挑むのは、女子400mハードルのフェムケ・ボル(オランダ)。7月のDLロンドンでは世界歴代2位の51秒45をマークするなど、史上2人目の50秒台突入は射程圏だ。今季はスプリント種目に専念したうえ、右膝を痛めて影響で今大会は欠場となったシドニー・マクローリン・レヴロン(米国)が持つ世界記録50秒68にどこまで迫れるか。 男子砲丸投のライアン・クルーザー(米国)は、5月末に自身の世界記録を23m56に更新。ターンの入りでステップを加えた「クルーザー・ステップ」がハマれば、さらなる記録更新もあり得る。 連覇記録では男子ハンマー投のパウェル・ファイデク(ポーランド)には、男子棒高跳の“鳥人”セルゲイ・ブブカに並ぶ個人最多の6連覇、女子三段跳のユリマール・ロハス(ベネズエラ)には女子個人最多の4連覇が懸かる。 このほかにも好記録、名勝負への期待が高まる種目が目白押し。世界の超人たちが集う世界陸上は、8月19日から27日までの9日間、“東欧のパリ”と称される美しき街・ブダペストを舞台に行われる。
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