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2025.10.31

【学生長距離Close-upインタビュー】箱根駅伝予選会で好走の中央学大・市川大世 「一つ大きな自信になった」

中学は助っ人を借りて駅伝へ

山梨県中央市出身で、田富中入学後に「なんとなく陸上部で長距離をやっていました」。1年時は長距離部員が少なく、女子の先輩と練習をともにした。それでも、サッカー部や野球部から助っ人を借りて出場した駅伝が「やっぱり楽しかったですね」と笑う。

中学時代は3000mで9分41秒52が自己ベスト。高校でも「とりあえず続けるくらいの感覚」で考えていたが、巨摩高の顧問の先生から誘われて進学を決めた。

高校1年から15分台に突入し、3年時には14分40秒36。3年時は南関東大会で1500mと5000mに出場した。「一気に記録が伸び始めて、自分のレベルが上がっていくにつれて陸上の楽しさを感じていきました」と当時を振り返る。

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駅伝では山梨学院高の牙城を崩すことはできなかったものの、「3年間頑張った仲間と駅伝でタスキをつなげたことは、すごく思い出に残っています」。南関東大会の走りで勧誘を受け、中央学大に進んだ。

故障した状態で大学に入学したようにケガが絶えず、「3ヵ月以上走れなかったり、まったく練習に戻れない状態が続いたりもしました。マネージャー転向や競技を続けるか悩んだ時期もありました」。夏の帰省で気持ちを切り替え、今年の躍進につなげている。

自信の持ち味に「粘り」を挙げる。「トラックが個人的には好きではなくて、ロードや長い距離のほうが得意だと感じています」。将来的には社会人でも競技を続ける方針で、「マラソンで戦っていきたいです」と意欲を口にした。

箱根駅伝でのリベンジに向け、まずは自身初出場となる全日本大学駅伝が控えている。「初めてなので、どういう感じなのかまったくわかりませんが、箱根の反省を生かして本当に楽しんで走りたいと思っています」。重圧に負けず、持てる力を出し切るつもりだ。

箱根駅伝予選会で個人18位に入った市川

◎いちかわ・たいせい/2004年12月7日生まれ、山梨県中央市出身。田富中→巨摩高→中央学大。自己記録5000m13分52秒84、10000m28分38秒31、ハーフマラソン1時間1分43秒。

文/片井雅也

[caption id="attachment_131366" align="alignnone" width="800"] 中央学大の市川大世[/caption] 学生長距離Close-upインタビュー 市川 大世 Ichikawa Taisei 中央学大3年 「月陸Online」限定で大学長距離選手のインタビューをお届けする「学生長距離Close-upインタビュー」。53回目は、中央学大の市川大世(3年)をピックアップする。 今季は2月の日本学生ハーフで1時間1分43秒をマークし、全日本大学駅伝関東地区選考会では4組で力走。7月の士別ハーフで学生2番手の4位に入ると、箱根駅伝予選会では日本人9番手の個人18位となった。 エースで主将の近田陽路(4年)に次ぐ準エース格に成長し、全日本大学駅伝と箱根駅伝に挑戦する。間近に迫った本格的な駅伝シーズンへの意気込みなどを聞いた。

初の箱根路で味わった悔しさ

箱根駅伝予選会で18年ぶりのトップ通過を果たした中央学大で、存在感を示したのが市川大世(3年)だった。「個人的な目標だった日本人10番以内を達成できましたし、チームとしても目標以上の結果が出たので一つ大きな自信になったと感じています」と実感を込める。 予選会ではエースの近田陽路(4年)とともに日本人トップ集団で推移。冷静にレースを進めていたが、「自分はただ必死についているだけでした」と話す。 最終盤まで食らいついていたが、ラスト勝負を仕掛けた近田や日体大・平島龍斗(4年)、東農大・前田和摩(3年)らには対応できない。「シンプルに実力不足です。自分はまだ勝負する土俵に立てていなかったと感じました」と、反省が先に出た。 ただ、エースで主将の近田に次ぐチーム内2番手。5月の全日本大学駅伝関東地区選考会でも近田とともに最終の4組を任されていただけに、「特に副主将みたいな役職は持っていないのですが、走りでチームを引っ張っていこうという自覚は常々持っています」。主力としての覚悟が強くにじむ。 その覚悟の源は、今年1月の箱根駅伝で味わった悔しさにある。初の大舞台で往路の3区に抜擢。エース・吉田礼志(現・Honda)が順位を上げ、7位でタスキを受けてスタートした。 「自信がなかったわけではないのですが、箱根駅伝の雰囲気や周りの選手に圧倒されてしまいました。全然自分の力を出し切れなかったと感じています」 区間18位と苦しみ、シード圏外の11位に後退。最終的にチームは14位だった。「リベンジしたいという思いが一番大きいです。今度はどんな状況でもシード権に近づく走りがしたいと常々考えて練習に臨んできました」。そこからは成長のスピードを早めていく。 2月の日本学生ハーフで1時間1分43秒をマークすると、3月には5000mでチーム最速の13分52秒84を叩き出す。4月には10000mで28分38秒31と各種目で自己記録を連発すると、7月の士別ハーフでは学生2番手の4位に食い込む。「去年と比べて、地力が上がっていると感じています」と実感を込めた。 好調の要因は「1年を通して、故障なく練習できている」ことだ。下級生の頃はケガが多く、「前半シーズンがまったく走れなくて、夏合宿から合流みたいなかたちがありました。自信を持って臨めていました」。タンパク質を意識して摂るように食事を見直し、故障の少ない身体を作り上げてきた。

中学は助っ人を借りて駅伝へ

山梨県中央市出身で、田富中入学後に「なんとなく陸上部で長距離をやっていました」。1年時は長距離部員が少なく、女子の先輩と練習をともにした。それでも、サッカー部や野球部から助っ人を借りて出場した駅伝が「やっぱり楽しかったですね」と笑う。 中学時代は3000mで9分41秒52が自己ベスト。高校でも「とりあえず続けるくらいの感覚」で考えていたが、巨摩高の顧問の先生から誘われて進学を決めた。 高校1年から15分台に突入し、3年時には14分40秒36。3年時は南関東大会で1500mと5000mに出場した。「一気に記録が伸び始めて、自分のレベルが上がっていくにつれて陸上の楽しさを感じていきました」と当時を振り返る。 駅伝では山梨学院高の牙城を崩すことはできなかったものの、「3年間頑張った仲間と駅伝でタスキをつなげたことは、すごく思い出に残っています」。南関東大会の走りで勧誘を受け、中央学大に進んだ。 故障した状態で大学に入学したようにケガが絶えず、「3ヵ月以上走れなかったり、まったく練習に戻れない状態が続いたりもしました。マネージャー転向や競技を続けるか悩んだ時期もありました」。夏の帰省で気持ちを切り替え、今年の躍進につなげている。 自信の持ち味に「粘り」を挙げる。「トラックが個人的には好きではなくて、ロードや長い距離のほうが得意だと感じています」。将来的には社会人でも競技を続ける方針で、「マラソンで戦っていきたいです」と意欲を口にした。 箱根駅伝でのリベンジに向け、まずは自身初出場となる全日本大学駅伝が控えている。「初めてなので、どういう感じなのかまったくわかりませんが、箱根の反省を生かして本当に楽しんで走りたいと思っています」。重圧に負けず、持てる力を出し切るつもりだ。 [caption id="attachment_131366" align="alignnone" width="800"] 箱根駅伝予選会で個人18位に入った市川[/caption] ◎いちかわ・たいせい/2004年12月7日生まれ、山梨県中央市出身。田富中→巨摩高→中央学大。自己記録5000m13分52秒84、10000m28分38秒31、ハーフマラソン1時間1分43秒。 文/片井雅也

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