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2023.10.13

東京国際大、東海大、大東大がトップ通過候補か 中央学大・吉田礼志、東農大・前田和摩らの走りに注目/箱根駅伝予選会
東京国際大、東海大、大東大がトップ通過候補か 中央学大・吉田礼志、東農大・前田和摩らの走りに注目/箱根駅伝予選会

第99回箱根駅伝予選会の様子

トップ通過、本戦出場ラインのゆくえは?

前述の10000mの平均タイムや、今年の勢い、これまでの予選会での実績などを踏まえ、今大会の勢力図を予想した。

A(上位候補)
東京国際大、東海大、大東大
B(通過濃厚)
明大、帝京大、中央学大
C(通過候補)
山梨学大、日体大、立大、国士大、神奈川大
D(ボーダー付近)
専大、日大、麗澤大、東農大
E(チャレンジ校)
拓大、駿河台大、亜細亜大、流経大、芝浦工大、筑波大など

東京国際大は前述のエティーリで大量リードを奪える強みがある。日本人も7月に10000m28分30秒台をマークした佐藤榛紀と木村海斗、箱根9区区間7位と好走している村松敬哲(4年)らが選手層は厚い。2019年のトップ通過の再来も十分にありえる。

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東海大は関東インカレ1部10000m2位(日本人トップ)の花岡寿哉(2年)が軸になりそうで、1人や2人ミスがあったくらいでは動じないだけの戦力を有する。ハーフマラソンの高校最高記録(1時間3分15秒)を持つ南坂柚汰(1年)の走りにも注目だ。

前回トップ通過の大東大は、留学生のピーター・ワンジル(3年)、日本人エースの久保田徹(4年)、10000mの大学記録(28分25秒77)を持つ西川千青(3年)が強力。昨年走ったメンバーも多く残り、アクシデントがない限りは上位通過が堅い。

明大、帝京大、中央学大も戦力的には通過が濃厚と言える。明大は1年時から主力として活躍する児玉真輝(4年)、箱根駅伝7区区間賞の杉彩文海(4年)、同3区区間4位の森下翔太(2年)が軸。6年ぶり予選会参戦となる帝京大は、本来この予選会にめっぽう強い傾向がある。何人かの主力がエントリーから外れているものの、ハーフで1時間2分台のベストを持つ西脇翔太(4年)、福田翔(3年)を中心に確実な通過を決めてきそう。中央学大は近年苦戦が続いているものの、ハーフ1時間0分31秒のタイムを持つ吉田礼志(3年)が学生長距離界を代表するエースへと成長。何もアクシデントがなければ上位通過も十分に可能だ。

前回出場校の山梨学大、日体大、立大、国士大の4校と、2年ぶり復活を目指す神奈川大も通過候補だ。この5校はエントリー段階でのアクシデントが少なく、昨年から10000mの平均タイムを上げてきている。

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ここまでで11校。順当にいけば残る通過枠は「2」となる。3年連続で本戦出場を決めている専大は木村が抜けた穴が大きく、苦戦を強いられる可能性が高い。10000m平均で通過ラインの11位につけている東農大、14位の日大、15位の麗澤大も同じグループとした。特に麗澤大は例年トラックの自己記録以上のパフォーマンスを予選会の舞台で発揮しており、今回こそは最大のチャンスをつかむ可能性が広がっている。

1つのミスが命取りにつながるため、拓大、駿河台大、亜細亜大、流経大、芝浦工大、筑波大などにも十分に突破のチャンスはあると見ていいだろう。

第100回箱根駅伝予選会は10月14日(土)、東京・立川市の陸上自衛隊立川駐屯地をスタート、国営昭和記念公園にフィニッシュとするハーフマラソンのコースで行われる。 記念大会の特別措置により、本戦への出場枠は「13」へ拡大。今回限りで関東以外の日本学連加盟校による出場も認められている。 選考方法は従来通り。各校10名以上12名以下がハーフマラソンに出走し、各校の上位10人の合計タイムで争われる。すでに発表されているチームエントリーを反映させた最新情報で予選会の勢力図を分析していく。

東海大・石原、専大・木村らがエントリーから外れる

各校のエントリーリストを見ると、有力選手が何人か外れているのが見て取れる。 東海大は学生駅伝区間賞3度獲得のエース・石原翔太郎(4年)、専大は昨年日本人トップ(8位)の快走を見せた木村暁仁(4年)を登録しなかった。
【エントリーに入れなかった有力選手】 選手名(所属)     10000m  箱根2023成績 白井 勇佑(東京国際大3)28.27.45 3区⑫ 吉住  颯(東京国際大3)31.28.62 6区⑱ 森  春樹(東京国際大2)28.44.97 ― 尾﨑 健斗(明大3)   28.54.19 4区⑪ 曳田 道斗(明大3)   28.48.42 ― 小野隆一朗(帝京大4)  28.49.10 1区⑯ 福島 渉太(帝京大3)  28.57.49 ― 石原翔太郎(東海大4)  28.05.91 2区④ 神薗 竜馬(東海大4)  28.42.61 8区⑳ 喜早 駿介(東海大4)  28.52.13 ― 松尾 昂来(東海大4)  28.21.80 ― 溝口  仁(東海大4)  28.24.48 ― 越  陽汰(東海大3)  28.48.37 4区⑨ 野島 悠太(東海大3)  28.50.07 ― 倉田  蓮(大東大4)  28.58.79 ― 内山 峻一(日体大4)  30.28.45 6区⑪ 髙濵 大志(日体大4)  28.55.78 ― 吉冨 純也(日体大4)  29.18.77 5区⑲ 内田 賢利(立大4)   29.46.38 6区⑭ 服部 凱杏(立大4)   29.22.88 7区⑭ 相澤 拓摩(立大2)   30.17.95 5区⑳ 山本 雷我(国士大4)  29.35.97 5区⑪ 中島 弘太(国士大3)  29.14.04 6区⑲ 粟江倫太郎(専大4)   29.28.04 6区⑦ 千代島宗汰(専大3)   29.52.61 1区⑳ 尾方 馨斗(神奈川大4) 28.49.71 ― 中原 優人(神奈川大3) 28.47.66 ― 安藤 武留(中央学大3) 28.57.69 ― 堀田 晟礼(中央学大3) 28.45.89 ― 稲見  峻(中央学大1) 28.53.53 ― M.ゴッドフリー(駿河台大2)28.28.36 ― ※前回の箱根駅伝出場者と10000m28分台のベストを持つ選手

10000mPB上位10人平均は東海大がトップ

各校エントリー選手の10000m自己ベストを集計し、上位10人の平均タイムを出したものが以下の表だ(※本来であれば本番と同じハーフマラソンの自己ベストを用いるべきだが、タイムを持っていない選手が多いため10000mで比較する)。 ①東海大  28.50.59(28.49.68→9位) ②大東大  28.52.48(28.54.65→1位) ③東京国際大28.55.39(前回シード) ④明 大  28.58.31(28.49.20→2位) ⑤神奈川大 29.00.00(29.10.53→11位) ⑥中央学大 29.00.59(29.13.14→12位) ⑦立 大  29.02.99(29.15.51→6位) ⑧帝京大  29.04.25(前回シード) ⑨山梨学大 29.05.50(29.09.19→7位) ⑩日体大  29.05.79(29.07.69→5位) ⑪東農大  29.11.11(29.38.01→17位) ⑫国士大  29.18.30(29.21.71→10位) ⑬専 大  29.24.23(29.32.82→8位) =====通過ライン===== ⑭日 大  29.26.38(29.07.55→13位) ⑮麗澤大  29.27.28(29.59.26→14位) ⑯拓 大  29.29.30(29.18.17→18位) ⑰駿河台大 29.34.34(29.32.62→19位) ⑱亜細亜大 29.38.14(30.01.97→24位) ⑲流経大  29.40.69(31.15.31→30位) ⑳芝浦工大 29.41.09(30.02.10→20位) 21上武大  29.43.98(29.42.42→21位) 22筑波大  29.49.12(29.58.31→15位) 23日本薬科大29.54.30(29.38.41→16位) 24慶大   29.57.61(30.18.57→26位) 25東経大  29.58.23(30.10.66→28位) 26京産大  30.07.49(前回不出場) 27立命大  30.08.17(前回不出場) ※留学生が複数いる大学は記録の良い選手を反映 ※右のカッコ内の数字は昨年の同時期のタイムと実際の順位 ※小数点第3位以下は四捨五入 ランキングトップは東海大。10000m28分台を持つ石原や松尾、溝口などは外れたものの、10番手の選手が29分08秒31という圧倒的な選手層が武器だ。 2位の大東大は大きなエントリー漏れがなく、順当に仕上げてきそう。10000m28分台7人は全大学最多で、2年連続のトップ通過も視野に入れている。 3位の東京国際大は10000mの学生記録(27分06秒88)を持つリチャード・エティーリ(1年)が出走する見込みで、大きくタイムを稼ぐことが予想される。前回2位通過の明大が続き、ここまでが10人平均で28分台となる。5位以下は神奈川大、中央学大、立大、帝京大、山梨学大、日体大、東農大、国士大、専大と、ここまでが通過圏内だ。 前回の本戦出場校は軒並みタイムを上げており、下がったのは東海大と明大のみ。明大は6月の全日本大学駅伝選考会で敗退を喫しており、上位といえども決して油断はできない。 一方で大きくタイムを上げてきたのが東農大だ。1年間で約27秒も更新。6月の全日本選考会でU20日本歴代2位となる28分03秒51をマークした前田和摩(1年)を中心に10年ぶりに本戦復帰が近い状況だ。 15位の麗澤大は昨年から30秒以上も更新。それでも前回は14位につけており、あと1つだけ順位を上げればいいことを考えると、本戦初出場へ最も近い存在と言える。

トップ通過、本戦出場ラインのゆくえは?

前述の10000mの平均タイムや、今年の勢い、これまでの予選会での実績などを踏まえ、今大会の勢力図を予想した。
A(上位候補) 東京国際大、東海大、大東大 B(通過濃厚) 明大、帝京大、中央学大 C(通過候補) 山梨学大、日体大、立大、国士大、神奈川大 D(ボーダー付近) 専大、日大、麗澤大、東農大 E(チャレンジ校) 拓大、駿河台大、亜細亜大、流経大、芝浦工大、筑波大など
東京国際大は前述のエティーリで大量リードを奪える強みがある。日本人も7月に10000m28分30秒台をマークした佐藤榛紀と木村海斗、箱根9区区間7位と好走している村松敬哲(4年)らが選手層は厚い。2019年のトップ通過の再来も十分にありえる。 東海大は関東インカレ1部10000m2位(日本人トップ)の花岡寿哉(2年)が軸になりそうで、1人や2人ミスがあったくらいでは動じないだけの戦力を有する。ハーフマラソンの高校最高記録(1時間3分15秒)を持つ南坂柚汰(1年)の走りにも注目だ。 前回トップ通過の大東大は、留学生のピーター・ワンジル(3年)、日本人エースの久保田徹(4年)、10000mの大学記録(28分25秒77)を持つ西川千青(3年)が強力。昨年走ったメンバーも多く残り、アクシデントがない限りは上位通過が堅い。 明大、帝京大、中央学大も戦力的には通過が濃厚と言える。明大は1年時から主力として活躍する児玉真輝(4年)、箱根駅伝7区区間賞の杉彩文海(4年)、同3区区間4位の森下翔太(2年)が軸。6年ぶり予選会参戦となる帝京大は、本来この予選会にめっぽう強い傾向がある。何人かの主力がエントリーから外れているものの、ハーフで1時間2分台のベストを持つ西脇翔太(4年)、福田翔(3年)を中心に確実な通過を決めてきそう。中央学大は近年苦戦が続いているものの、ハーフ1時間0分31秒のタイムを持つ吉田礼志(3年)が学生長距離界を代表するエースへと成長。何もアクシデントがなければ上位通過も十分に可能だ。 前回出場校の山梨学大、日体大、立大、国士大の4校と、2年ぶり復活を目指す神奈川大も通過候補だ。この5校はエントリー段階でのアクシデントが少なく、昨年から10000mの平均タイムを上げてきている。 ここまでで11校。順当にいけば残る通過枠は「2」となる。3年連続で本戦出場を決めている専大は木村が抜けた穴が大きく、苦戦を強いられる可能性が高い。10000m平均で通過ラインの11位につけている東農大、14位の日大、15位の麗澤大も同じグループとした。特に麗澤大は例年トラックの自己記録以上のパフォーマンスを予選会の舞台で発揮しており、今回こそは最大のチャンスをつかむ可能性が広がっている。 1つのミスが命取りにつながるため、拓大、駿河台大、亜細亜大、流経大、芝浦工大、筑波大などにも十分に突破のチャンスはあると見ていいだろう。

日本人トップ候補は!?

当日の天気予報では晴れ、気温18~20度ほどになりそうで、市街地などで直射日光にさらされるとスタミナの消耗につながってしまう。 例年通りだと序盤で強力なケニア人留学生が抜け出す可能性が高く、2年連続個人1位のワンジク・チャールズ・カマウ(武蔵野学大4)、昨年個人3位のネルソン・マンデラ・ンビディ(桜美林大2)、東京国際大のエティーリあたりが個人トップ候補に挙がる。 日本人では中央学大の吉田が一歩抜け出た存在か。東農大の前田、東海大の花岡も有力だ。 通過ボーダーライン(10位)の10人平均タイムは、前回が1時間4分53秒だった。今回は通過枠が増加したためやや下がる可能性もあるが、条件次第では1時間4分30秒ほどまで上がるかもしれない。 テレビ中継は10月14日の午前9時25分から11時25分まで全国の日本テレビ系列で放送。TVerではスペシャルライブ配信も行われるという。記念すべき第100回大会の出場を懸けた立川決戦はスタートからフィニッシュまで目が離せない展開になりそうだ。

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