HOME 学生長距離

2024.12.20

箱根駅伝Stories/日大・大仲竜平「勝負できるところで走りたい」 副主将として結果を
箱根駅伝Stories/日大・大仲竜平「勝負できるところで走りたい」 副主将として結果を

第100回箱根駅伝でアンカーを務めた日大・大仲竜平

新春の風物詩・第101回箱根駅伝に挑む出場全21チームの選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。新たな100年への第一歩を踏み出す大会に向かうそれぞれの歩みを紹介する。

「大きな筋肉」への意識で成果

「箱根駅伝では、前回大会の順位よりも一つでも上を目指して、任された区間をがんばりたいと思います」

広告の下にコンテンツが続きます

12月14日。第101回大会に向けた日大の合同取材で、大仲竜平(3年)はそう力強く宣言した。

前回大会で10区を任された大仲は、同学年で今シーズンの主将を務めている中澤星音から受け取ったタスキを握りしめながら走った。区間17位ながら、総合15位はキープしてフィニッシュ。2年ぶりの箱根路で、『N』のタスキを大手町まで運びきった。

「でも、その後から股関節や膝、ハムストリングスを故障してしまって……。まったく走れなかったわけではないのですが、思うような練習ができなくてトラックで記録を出せませんでした」

ただ、これを良い機会だと捉え、徹底的に自分の走りを見直した。何度も動画を見返し、走りの何が良くなかったのかを調べた。その先にたどり着いた答えは、ハムストリングスやお尻といった根本の「大きな筋肉」を使っていなかったことだった。「ポイント練習をやっても、疲労が出るのがふくらはぎだったんです」と振り返る。

広告の下にコンテンツが続きます

末端に近い小さな筋肉を使うと疲れやすいだけではなく、関節への負担も大きく故障にもつながりやすい。そこに気づいた大仲は、チューブトレーニングを取り入れる。

「といっても、練習前に軽く刺激を入れる程度でしたが、今までよりもお尻やハムストリングスを意識して走れるようになっていきました」

それと同時に走りの調子も上げていき、夏合宿前には復調。ケガなく夏を乗り切り、目標にしていた距離をしっかりと踏むことができたことで、春先に失っていた自信を取り戻すことができた。

成果は、かたちとなって表れた。「沖縄出身ということもあって暑さには強かったんですかね」。他大学の選手たちも苦しめられた酷暑のなかで行われた10月の箱根駅伝予選会で、大仲は自己記録に近い1時間4分51秒をマークする。

チーム順位も、個人総合トップのシャドラック・キップケメイ(2年)に次ぐ2番手でフィニッシュ。4年生エースの安藤風羽を記録で上回って見せた。

その後もケガや故障をすることなくトレーニングを積んだ。トラックよりもロードのほうが得意だが「好きなロードで結果を残すなら、トラックのタイムも必要」と、12月1日の日体大長距離競技会の10000mでは、28分49秒84の自己新をマーク。実力をトラックでも証明したことで、ロードはもっと上を目指せる自信をつけた。

「前回は他大学の選手たちとの差を痛感した大会でした。今回は少しでも勝負できるところで走りたいと思っています」

新春の風物詩・第101回箱根駅伝に挑む出場全21チームの選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。新たな100年への第一歩を踏み出す大会に向かうそれぞれの歩みを紹介する。

「大きな筋肉」への意識で成果

「箱根駅伝では、前回大会の順位よりも一つでも上を目指して、任された区間をがんばりたいと思います」 12月14日。第101回大会に向けた日大の合同取材で、大仲竜平(3年)はそう力強く宣言した。 前回大会で10区を任された大仲は、同学年で今シーズンの主将を務めている中澤星音から受け取ったタスキを握りしめながら走った。区間17位ながら、総合15位はキープしてフィニッシュ。2年ぶりの箱根路で、『N』のタスキを大手町まで運びきった。 「でも、その後から股関節や膝、ハムストリングスを故障してしまって……。まったく走れなかったわけではないのですが、思うような練習ができなくてトラックで記録を出せませんでした」 ただ、これを良い機会だと捉え、徹底的に自分の走りを見直した。何度も動画を見返し、走りの何が良くなかったのかを調べた。その先にたどり着いた答えは、ハムストリングスやお尻といった根本の「大きな筋肉」を使っていなかったことだった。「ポイント練習をやっても、疲労が出るのがふくらはぎだったんです」と振り返る。 末端に近い小さな筋肉を使うと疲れやすいだけではなく、関節への負担も大きく故障にもつながりやすい。そこに気づいた大仲は、チューブトレーニングを取り入れる。 「といっても、練習前に軽く刺激を入れる程度でしたが、今までよりもお尻やハムストリングスを意識して走れるようになっていきました」 それと同時に走りの調子も上げていき、夏合宿前には復調。ケガなく夏を乗り切り、目標にしていた距離をしっかりと踏むことができたことで、春先に失っていた自信を取り戻すことができた。 成果は、かたちとなって表れた。「沖縄出身ということもあって暑さには強かったんですかね」。他大学の選手たちも苦しめられた酷暑のなかで行われた10月の箱根駅伝予選会で、大仲は自己記録に近い1時間4分51秒をマークする。 チーム順位も、個人総合トップのシャドラック・キップケメイ(2年)に次ぐ2番手でフィニッシュ。4年生エースの安藤風羽を記録で上回って見せた。 その後もケガや故障をすることなくトレーニングを積んだ。トラックよりもロードのほうが得意だが「好きなロードで結果を残すなら、トラックのタイムも必要」と、12月1日の日体大長距離競技会の10000mでは、28分49秒84の自己新をマーク。実力をトラックでも証明したことで、ロードはもっと上を目指せる自信をつけた。 「前回は他大学の選手たちとの差を痛感した大会でした。今回は少しでも勝負できるところで走りたいと思っています」

高校同級生のVが刺激に

大仲は沖縄県の波照間島出身。小学生のときはバスケットボール、中学生のときは「それしかなかったんですよ」と、バドミントン部に入っていた。でも、そのときから走ることは大好きで、毎日父と砂浜を1時間ほど走り続けていたという。 「海が好きなので、今も地元に帰ったときは砂浜を走っていますよ」 中学時代に都道府県対抗男子駅伝を経験し、北山高時代にも全国高校駅伝で27位に入る。そのときに共に戦った同級生が、國學院大で活躍する上原琉翔、嘉数純平らである。 「彼らの活躍は見て、もっと自分もがんばろうと刺激をもらいました。沖縄県は、長距離が弱いと言われています。それを覆せるように頑張りたい」 大仲を覚醒させたのは、1年時の箱根駅伝予選会だった。チームは13位で本戦に出場できず、自然と悔しさが全身を駆け巡った。 それこそ同級生の上原は1年生でチームの主力として走り、本戦でも7区を任され区間6位。それも、大仲の心を燃えさせるには十分だった。 2度目の予選会はチーム内で10位と苦しんだが、本戦メンバー入りを果たす。そして10区を任されることになった。しかしながら、それも今思い返せば「うれしいよりも、悔しかったですね」と言う。 「現状で満足していてはダメ。もっと上を目指したいのであれば、練習しないと、と思いました」。はやる気持ちが今シーズンの春先の故障につながってしまったのだが、立て直してきた。この事実が、大仲にとって大きな自信となった。 「副キャプテンになったことも大きかったと思います。チームを率いる立場になったわけですから、自分のことだけじゃなくて、チームのことを考えて行動するようになったんです」。悩むこともあったが、4年生が相談に乗ってくれて精神的な安心感をもたらしてくれた。 「下級生から見られる立場になるんだから模範にならないといけない、ということに気づけました。言葉を使うのではなく、走りでチームを引っ張ることが、今の僕にできることだと思うんです。そのためには、結果を出さないといけない。結果がすべてといっても過言ではないと思っています。それが僕の役割だと思っていますから」 副主将として、背中でも見せるつもりだ。「目標は、区間で上位です。本当は往路を走ってライバルたちと勝負をしたいです。でも、どの区間を任されても、必ず区間上位に入れるように準備していきます」と言葉に力を込めた。 [caption id="attachment_123595" align="alignnone" width="800"] 区間上位を見据える大仲竜平[/caption] おおなか・りゅうへい/2003年8月31日生まれ。沖縄県竹富町出身。沖縄・波照間中→北山高。5000m14分26秒59、10000m28分49秒84、ハーフ1時間4分24秒 文/田坂友暁

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.06.16

800m昨年全国8位の菊池晴太が1分50秒03の大会新V「収穫と悔しさがある」400mH長谷川桜介が51秒19、三段跳の菅野穂乃は大会新/IH東北

◇インターハイ東北地区大会(6月13~16日/青森・カクヒログループアスレチックスタジアム)3日目 広島インターハイを懸けた東北地区大会の3日目が行われ、男子800mは菊池晴太(盛岡第四3岩手)が1分50秒03の大会新で […]

NEWS 東大阪大敬愛が女子総合V2 広島IHへ、久保凛「笑顔で締めくくりたい」 男子は洛南が10連覇 /IH近畿

2025.06.16

東大阪大敬愛が女子総合V2 広島IHへ、久保凛「笑顔で締めくくりたい」 男子は洛南が10連覇 /IH近畿

◇インターハイ近畿地区大会(6月12~15日/京都市・たけびしスタジアム京都)最終日 広島インターハイを懸けた近畿地区大会の最終日が行われ、前日までと同様、各種目でし烈な戦いが繰り広げられた。 広告の下にコンテンツが続き […]

NEWS 走幅跳IH2位の成澤柚日が自己新6m11で3連覇!柴田弥聖が2年連続ロングスプリント2冠/IH北関東

2025.06.16

走幅跳IH2位の成澤柚日が自己新6m11で3連覇!柴田弥聖が2年連続ロングスプリント2冠/IH北関東

◇インターハイ北関東地区大会(6月13~16日/栃木県宇都宮市・県総合運動公園カンセキスタジアム) 広島インターハイを懸けた北関東地区大会の2日目が行われ、女子走幅跳で成澤柚日(共愛学園3群馬)が自己新の6m11(+1. […]

NEWS 円盤投・松元美春が最終投てきで大逆転連覇&3年連続IHへ!走幅跳・木浦が自己新連発7m20、大混戦800mは田中が2年生V/IH南九州

2025.06.16

円盤投・松元美春が最終投てきで大逆転連覇&3年連続IHへ!走幅跳・木浦が自己新連発7m20、大混戦800mは田中が2年生V/IH南九州

◇インターハイ南九州地区大会(6月13~16日/熊本市・えがお健康スタジアム)3日目 広島インターハイを懸けた南九州地区大会の3日目が行われ、女子円盤投は松元美春(出水3鹿児島)が39m42で2連覇を達成した。 広告の下 […]

NEWS 中村学園女3種目V 小松美咲800m2分05秒63の大会新で2連覇&2冠 走幅跳とハンマー投も制す 大塚涼也がやり投65m51/IH北九州

2025.06.16

中村学園女3種目V 小松美咲800m2分05秒63の大会新で2連覇&2冠 走幅跳とハンマー投も制す 大塚涼也がやり投65m51/IH北九州

◇インターハイ北九州地区大会(6月13日~16日/佐賀・SAGAスタジアム) 広島インターハイをかけた北九州地区大会の3日目が行われ、中村学園女(福岡)が女子3種目で制した。 広告の下にコンテンツが続きます なかでも80 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年7月号 (6月13日発売)

2025年7月号 (6月13日発売)

詳報!アジア選手権
日本インカレ
IH都府県大会

page top