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2026.09.30

【竹澤健介の視点】世界トップに挑んだ5000m山口智規 残り800mのスパートにこれまでの取り組みが凝縮/名古屋アジア大会
【竹澤健介の視点】世界トップに挑んだ5000m山口智規 残り800mのスパートにこれまでの取り組みが凝縮/名古屋アジア大会

名古屋アジア大会5000mで銀メダルを獲得した山口智規

9月29日に愛知県名古屋市のパロマ瑞穂スタジアムで行われた名古屋アジア大会陸上最終日の7日目の男子5000mで、山口智規(SGホールディングス)が13分31秒43で銀メダルを獲得した。2008年北京五輪5000m、10000m代表の竹澤健介さん(摂南大ヘッドコーチ)に、レースを振り返ってもらった。

◇ ◇ ◇

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山口智規選手が、早大時代から花田勝彦監督と取り組んできた成果が発揮されたレースだったと言えるでしょう。いろいろなものがつながり、身につけた強さだったと思います。

13分30秒79で3連覇を飾ったビルハヌ・バレウ(バーレーン)は12分45秒70のアジア記録保持者で、世界最高峰シリーズのダイヤモンドリーグ(DL)ファイナルの今季王者。今大会も10000mを制しています。そんな世界トップの選手を相手にしていたわけですから、本当に素晴らしかったです。

レースを振り返ると、全体的にスローペースでした。バレウ選手は2種目目、グルビール・シン選手(インド)は前日の1500m決勝も含めて4レース目と、優勝候補の選手たちは複数種目をこなしていたので、そうなることはある程度予想できたでしょう。山口選手にとっては余裕のある展開となり、それが残り800mでのスパートの勢いにつながったと思います。

早大時代にも1500mなどでああいった逃げ方を見せていました。また、そこまでに余裕を持てていたのは、今年の箱根駅伝2区で1時間5分47秒と日本人4人目の1時間5分台をマークするベースがあったから。5月以降に仙骨の疲労骨折がありましたが、積み上げてきた基礎的な能力が大きく落ちることはありません。

そのうえで、残り800mからの仕掛けということがライバルたちの虚を突くことになったと思います。一気に仕掛けることで、その対応に1秒かかったとしたら、大きな貯金となります。また、スパートの勢いのまま最後まで押し切ったことも素晴らしかったポイント。ラスト800mからの400mは54秒でカバーし、最後の1周も57秒あたり。残り1000mはバレウ選手が2分23秒、山口選手は2分24秒という上がりを見せました。金メダルにはあと0.64秒届きませんでしたが、メダル争いという点ではこれ以上ない強さを示したと言えるでしょう。

近年の世界の5000mは、1500mの選手たちがそのスピードを生かして戦うという流れがあります。スピード化が加速している中で、山口選手も学生時代から1500mにしっかりと取り組んできました。その流れの中で取った銀メダルには、非常に大きな価値があると感じています。これからの日本が目指す方向性の一つを示してくれたのではないでしょうか。

山口選手にとっても、キャリアにおける大きなターニングポイント。これまでの取り組みの成果が、さらに大きく花開く“きっかけ”になるのでは、と個人的には思っています

森凪也選手(Honda)は、1500mとの連戦でした。1500mの銅メダルも含めて、今大会の2種目のチャレンジは大いに評価されるべきものです。

今季は3000mでも日本新記録(7分38秒98)をマークするなど、自分自身がたどり着きたい舞台のために何をすべきか、という方向性を明確に持った取り組みができていると思います。今回は山口選手に軍配が上がりましたが、次はしっかりと対策し、力を発揮してくるでしょう。森選手にとっても力をつける良い大会になったはずです。

2日目(9月24日)に行われた10000mでは、吉居大和選手(トヨタ自動車)が29分06秒64で5位に入賞しました。トラックで初めての日本代表としてのレースが、地元開催。しかも、途中に先頭を引っ張らさられるなど、難しいレースとなりました。それでも、国際大会の難しさは、国際大会でしか味わえません。今回の経験を、ぜひ次のチャレンジに生かしてもらいたいです。

男女ともに、アジアトップのレベルはどんどん上がっていますが、日本の中長距離陣は男女ともに、各種目で躍動が感じられました。そこをしっかりと評価し、世界へとつなげていってもらえればと思います。

◎竹澤健介(たけざわ・けんすけ)
摂南大陸上競技部ヘッドコーチ。早大3年時の2007年に大阪世界選手権10000m、同4年時の08年北京五輪5000m、10000mに出場。箱根駅伝では2年時から3年連続区間賞を獲得した。日本選手権はエスビー食品時代の10年に10000mで優勝している。自己ベストは500m13分19秒00、10000m27分45秒59。

9月29日に愛知県名古屋市のパロマ瑞穂スタジアムで行われた名古屋アジア大会陸上最終日の7日目の男子5000mで、山口智規(SGホールディングス)が13分31秒43で銀メダルを獲得した。2008年北京五輪5000m、10000m代表の竹澤健介さん(摂南大ヘッドコーチ)に、レースを振り返ってもらった。◇ ◇ ◇山口智規選手が、早大時代から花田勝彦監督と取り組んできた成果が発揮されたレースだったと言えるでしょう。いろいろなものがつながり、身につけた強さだったと思います。13分30秒79で3連覇を飾ったビルハヌ・バレウ(バーレーン)は12分45秒70のアジア記録保持者で、世界最高峰シリーズのダイヤモンドリーグ(DL)ファイナルの今季王者。今大会も10000mを制しています。そんな世界トップの選手を相手にしていたわけですから、本当に素晴らしかったです。レースを振り返ると、全体的にスローペースでした。バレウ選手は2種目目、グルビール・シン選手(インド)は前日の1500m決勝も含めて4レース目と、優勝候補の選手たちは複数種目をこなしていたので、そうなることはある程度予想できたでしょう。山口選手にとっては余裕のある展開となり、それが残り800mでのスパートの勢いにつながったと思います。早大時代にも1500mなどでああいった逃げ方を見せていました。また、そこまでに余裕を持てていたのは、今年の箱根駅伝2区で1時間5分47秒と日本人4人目の1時間5分台をマークするベースがあったから。5月以降に仙骨の疲労骨折がありましたが、積み上げてきた基礎的な能力が大きく落ちることはありません。そのうえで、残り800mからの仕掛けということがライバルたちの虚を突くことになったと思います。一気に仕掛けることで、その対応に1秒かかったとしたら、大きな貯金となります。また、スパートの勢いのまま最後まで押し切ったことも素晴らしかったポイント。ラスト800mからの400mは54秒でカバーし、最後の1周も57秒あたり。残り1000mはバレウ選手が2分23秒、山口選手は2分24秒という上がりを見せました。金メダルにはあと0.64秒届きませんでしたが、メダル争いという点ではこれ以上ない強さを示したと言えるでしょう。近年の世界の5000mは、1500mの選手たちがそのスピードを生かして戦うという流れがあります。スピード化が加速している中で、山口選手も学生時代から1500mにしっかりと取り組んできました。その流れの中で取った銀メダルには、非常に大きな価値があると感じています。これからの日本が目指す方向性の一つを示してくれたのではないでしょうか。山口選手にとっても、キャリアにおける大きなターニングポイント。これまでの取り組みの成果が、さらに大きく花開く“きっかけ”になるのでは、と個人的には思っています森凪也選手(Honda)は、1500mとの連戦でした。1500mの銅メダルも含めて、今大会の2種目のチャレンジは大いに評価されるべきものです。今季は3000mでも日本新記録(7分38秒98)をマークするなど、自分自身がたどり着きたい舞台のために何をすべきか、という方向性を明確に持った取り組みができていると思います。今回は山口選手に軍配が上がりましたが、次はしっかりと対策し、力を発揮してくるでしょう。森選手にとっても力をつける良い大会になったはずです。2日目(9月24日)に行われた10000mでは、吉居大和選手(トヨタ自動車)が29分06秒64で5位に入賞しました。トラックで初めての日本代表としてのレースが、地元開催。しかも、途中に先頭を引っ張らさられるなど、難しいレースとなりました。それでも、国際大会の難しさは、国際大会でしか味わえません。今回の経験を、ぜひ次のチャレンジに生かしてもらいたいです。男女ともに、アジアトップのレベルはどんどん上がっていますが、日本の中長距離陣は男女ともに、各種目で躍動が感じられました。そこをしっかりと評価し、世界へとつなげていってもらえればと思います。◎竹澤健介(たけざわ・けんすけ) 摂南大陸上競技部ヘッドコーチ。早大3年時の2007年に大阪世界選手権10000m、同4年時の08年北京五輪5000m、10000mに出場。箱根駅伝では2年時から3年連続区間賞を獲得した。日本選手権はエスビー食品時代の10年に10000mで優勝している。自己ベストは500m13分19秒00、10000m27分45秒59。

【動画】自ら仕掛けた山口が5000mで銀メダル!

httpv://www.youtube.com/watch?v=KWp6IcA5mD4?start=377

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