◇第20回アジア大会・陸上競技(9月23~29日/愛知県名古屋市・パロマ瑞穂スタジアム)5日目
名古屋アジア大会の5日目の午後セッションに女子100mハードル決勝が行われ、福部真子(日本建設工業)が12秒74(-0.2)で金メダル、中島ひとみ(長谷川体育施設)が12秒78で銀メダルを獲得した。
日本勢にとって44年ぶりの金メダルをもたらした福部。「猪突猛進で行って、久しぶりに自分に集中できた」と振り返り、フィニッシュした瞬間は「目をつむっていた」と決着はわからず。「画面に映って勝ったんだなって」と実感したという。
「本当に取れると思っていなかったメダルだったので、今でもあまり実感が湧かない。スタートラインに立てるかどうか、だったので」
24年秋に難病である菊池病を発症。その後はたびたび発熱に悩まされた。少し症状が落ち着いてからも、今季は身体を絞ると免疫低下で体調を崩してしまう。アジア大会に向けても満足のいく練習は積めなかった。
それでも、やはり勝負強さは健在。これまで、何度逆境から這い上がり、頂点に立ってきた。
そして、こうして苦悩を明かす。
「今回のアジア大会で引退を考えていました。中学から見せてきた勝負強さをを最大限引き出して終わろう、と。集大成としてしっかり走れたら、結果もついてくるっていうふうに思って、信じて走ったのが結果につながりました」
パリ五輪後、何度も「アジア記録(12秒44)の更新」と口にしてきた。陸上競技の原点とし、1秒でも速く走るのだ、と。だが、そこに立ちふさがったのが病。自分の努力だけではどうしようもないものだった。
「目指しているアジア記録に対して、この2年間、自分がそこに向かって進めていないっていう事実を毎日のように突きつけられてきた」と言う。どうすればいいか、なにがしたいかが見えているのに、そこに向かう努力ができない。その葛藤に苦しんだ。
「試合に出るだけで精一杯。目標を下げれば続けられると思うけど、目標を下げては人生を懸けられない」
だからこそ、このアジアの金メダルは「菊池病で苦しんでいる人は、なかなか理解されない。活躍することで、病気の認知が広がって生きやすい社会になれば」と示すための大事なものに。これまでいくつも手にしてきた金メダル。「1人じゃ絶対に取れなかったメダルの色。今まで自分が取ってきたメダルの中で一番価値のある金メダルでした」。
ただ、「まだ決断したわけではない」。寺田明日香さんや、青木益未(七十七銀行)、コーチやトレーナーにも相談し「1年休んでロス五輪に向かうのもいい」とも言われたという。少し時間をかけて休めばいい。トラックはいつでもハードル女王を待っている。
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