2026.09.21
◇第20回アジア大会・陸上競技(9月23~29日/愛知県名古屋市・パロマ瑞穂スタジアム)
1994年広島大会以来、32年ぶりに自国開催となるアジア大会の陸上競技が23日に幕を開ける。4年に一度開催される“アジア版五輪”と言われる総合スポーツ大会。陸上は過去最多86名の選手団でアジアの強敵を迎え撃つ。女子の注目選手をチェックしよう。
やり投世界女王が6月の日本選手権以来の瑞穂に戻って来る。23年ブダペスト世界選手権、24年パリ五輪金メダリスト・北口榛花(JAL)がアジア大会に初出場。昨年は右肘痛の影響で苦しみ、東京世界選手権も予選落ちだったが、ついに完全復活、いや進化した姿で自国開催の大舞台に戻って来る。
今年から新たに男子やり投世界記録保持者で五輪3連覇というレジェンド、ヤン・ゼレズニー氏(チェコ)をコーチに迎え、新たな挑戦をスタート。日本選手権を制してアジア大会代表に内定すると、8月のダイヤモンドリーグ(DL)シレジア大会では64m90のシーズンベストで1年2ヵ月ぶりのDL制覇を果たした。
さらに、9月に入ってDLファイナルを65m44で2位。そして9月の世界アルティメット選手権では、3年ぶりに自身の日本記録を更新する68m93で初代女王の座に君臨した。「やっと胸を張って堂々と帰ってきた。しっかり準備して日本のみなさんの前で良い記録を投げられるように頑張ります」と力を込めている。
最大のライバルとなるのが、そのDLで何度も対戦している18歳の新鋭・嚴子怡(中国)。今年5月のDL厦門(中国)では、世界歴代2位、アジア新となる71m 74をマークした。DLも4連勝するなど、圧巻のパフォーマンス。北口との対決は世界が注目する。世界アルティメット選手権では68mオーバーを見せて2位も、やや右足に痛みがあり途中で試技を終えている。
北口が優勝すれば、日本勢として海老原有希(スズキ)以来、4大会・16年ぶり。やり投は27日(日)に行われる。
国内で大きな注目を集めているのが100mハードル。今年、日本選手権を初優勝した中島ひとみ(長谷川体育施設)は、8月に爆発する。富士北麓ワールドトライアルで12秒62をマークして福部真子(日本建設工業)の日本記録を0.07秒更新すると、5日後のAthlete Night Gamesでは12秒60と再び日本記録を塗り替えた。この記録はアジア歴代2位で、堂々の今季アジアリストトップに立つ。
もう1人の福部も日本選手権の準決勝で12秒72(セカンドベスト)をマークして、出場選手中2番目になる。夏は体調不良もあったが、本番での強さは折り紙付き。日本勢の優勝とそしてワンツーになれば、いずれも1982年の第9回ニューデリー大会・秋元恵美(上尾沼南高教)以来、実に44年ぶりの快挙だ。予選は26日、決勝は27日に行われる。
1500mと5000mの日本記録を持つ田中希実(豊田自動織機)は、この2種目に加え5月の選考レースを勝ち抜いた10000mとの3種目で代表入り。22年オレゴン世界選手権は800mとの3種目出場があったが、初めての距離での挑戦になる。
世界大会で入賞し、DL実績もある田中はアジア大会初出場。これまで日本勢は1500mと5000mの優勝者がなく、勝てば初めてとなる。10000mは福士加代子(ワコール)以来、20年ぶりだ。1大会で個人3冠は、男女含めて第1回で女子砲丸投・円盤投・やり投を制した吉野トヨ子(埼玉県教育丁)、第10回で女子800m・1500m・5000m優勝の林春愛(韓国)の2人だけだ。
5000mにはパリ五輪、東京世界選手権代表の山本有真(積水化学)も出場。日本選手権では田中を抑え、自身初の14分台をマークして優勝した。地元・愛知出身で大会への思い入れは人一倍だ。
同じく愛知出身の七種競技・田中友梨(スズキ)も優勝候補。名古屋市出身で、初めて出た大会もパロマ瑞穂スタジアム。現在の勤務地も競技場のほど近い場所だという。今年の日本選手権で女子初の6000点超えを出し、今季アジアリストトップに躍り出た。過去、五種競技時代は優勝があるものの、七種競技になってからは優勝ナシ。初優勝なるか。
その田中と同じ至学館高の同級生だったのが、100mと200mで代表入りした井戸アビゲイル風果(東邦銀行)。出身は岐阜だが、高校3年間通った愛知は特別な場所だ。200mで22秒79の日本記録を持ち、昨年は東京世界選手権で準決勝にも駒を進めた。200mは今季22秒81でリストトップタイ。2010年広州(中国)で100m・200m2冠した福島千里(北海道ハイテクA C)以来のアジア最速の称号を狙う。
800mには日本記録保持者の久保凛(積水化学)が登場。昨年は高校生ながら東京世界選手権にも出場した。今年は日本選手権を3連覇。U20世界選手権も2大会連続入賞を果たしている。アジアの大会では、昨年のアジア選手権で悔し涙の銀メダルだった。バーレーンに1分58秒26の記録を持つ選手がいるが、持てる力を出せば十分に日本勢52年ぶり優勝が見える。
3000m障害の齋藤みう(パナソニック)、棒高跳の諸田実咲(アットホーム)、走幅跳の秦澄美鈴(住友電工)、円盤投の郡菜々佳(ニコニコのり)、ハンマー投のマッカーサー・ジョイといった日本記録保持者も登場。なかでも諸田は、前回の杭州大会で当時日本記録となる4m48を跳んで銀メダルに輝いている。
26日朝7時50分にスタートするマラソンは、矢田みくに(エディオン)と佐藤早也伽(積水化学)が出場。矢田は今年1月の大阪国際女子で初マラソン日本最高の2時間19分57秒をマークしている。佐藤は3月の名古屋ウィメンズで2時間21分56秒の2位。愛称の良い名古屋でどんな走りを見せるか。優勝すれば1998年バンコクで当時の日本新を出した高橋尚子(積水化学)以来だ。
今回、リレーは4×100m、4×400mに加え、男女混合4×100mが行われる。井戸や、松本奈菜子(東邦銀行)を中心に、100m・御家瀬緑(住友電工)、200m・壹岐あいこ(大阪ガス)、リレーメンバーに入った青木益未(七十七銀行)らでメダル獲得に挑戦。青木は14年インチョン大会の4×100mを走り銅メダルに貢献している。
アジア大会の陸上競技は9月23日から29日、パロマ瑞穂スタジアムをメイン会場に行われる。チケットはナイトセッションがほぼ完売。大会の模様はTBSが独占生中継する。
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