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2026.08.31

【学生長距離Close-upインタビュー】トラックチーム最速の中央学大・日数谷隼人 「チームを引っ張りたい」

ケガで離脱なく継続した練習

2年生になった昨季はさらに苦しい時期を過ごす。「練習はできていたのですが、試合で結果が出ない。努力不足、実力不足でした」。秋以降は駅伝メンバーに絡めず、トップ通過を果たした箱根予選会も、チームとして3年ぶりに出場した全日本大学駅伝も、仲間を応援することしかできない。

11月下旬に10000mで28分36秒82と大幅に自己記録を更新した時は、箱根本戦のメンバー入りに「ワンチャン、あるかな」と希望を持ったが、甘くはなかった。目指していた舞台に自分の姿がない。そんなもどかしさと焦りを抱えていた時期もあった。

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ただ、悔しさを味わった2年間は、決して無駄ではなかった。吉田や昨年の主将・近田陽路(現・愛知製鋼)のようなエースの取り組みを間近で観察し、軽やかなフォームや競技に対する姿勢を吸収した。

そして何より、大学入学以来、一度もケガで離脱していないという事実は特筆に値するだろう。3食を欠かさず、十分な睡眠とケアを徹底する高い意識。その蓄積が3年目を迎えた日数谷の活躍に結びつつある。

中央学大は今、「距離の慣れと起伏の克服」をテーマに、夏の鍛錬期を過ごしている。ここを乗り越えれば、いよいよ勝負の駅伝シーズン開幕だ。

チームでは箱根予選会は3位以内、全日本と箱根の本戦は8位を目標に掲げる。そのために日数谷は「予選会は個人で50位以内に入り、駅伝では確実に良い順位で帰ってくる」と、自分がやるべき役割を明確にイメージできている。

初出走だけでなく、もちろん希望区間もある。「全日本は1区を走りたいです。流れが重要な区間だと思うので、自分が流れを作って、後半の区間に良い流れでタスキを渡したいです。箱根は6区を希望しています。(区間序盤にある)上りはあまり得意ではないのですが、下見に行った時に『もしかしたら走れるかもしれない』と感じました」と明かす。

トラックのスピードを生かしつつ、特殊区間の適性もあるとしたら…。前回の箱根で11位に終わり、8年ぶりにシード権獲得を目指す中央学大にとって、極めて強力な武器となるだろう。

同期の存在も刺激になっている。米田昂太、長部虎太郎、長友英吾、三代田宏太朗といった実力者が顔をそろえる3年生世代は、今やチームの最大勢力と言っていい。大学入学時点の5000mの持ちタイムでは、同期の中で日数谷が最も速かったが、学生駅伝デビューはすでに5人に先を越された。

「3年生は良いライバルでもあり、ちょっと怖いなという感じです。でも、全員に負けたくありません」。互いに切磋琢磨し合う仲間でありながら、負けたくないライバル。そんな競争意識が日数谷をさらなる高みへと押し上げる。

「最終学年となる来年度は、箱根の1区を走ってチームに勢いをつけたい。そして、大学卒業後は実業団に進んで、トラックで世界を目指したいです」と、おぼろげながらも未来への青写真を描くのは、自分の走りに自信を持てるようになったからに他ならない。

かつて自身の才能を疑い、駅伝メンバーから漏れて悔しさに涙を呑んだ日数谷は、もういない。中央学大の主力としての自覚を背負い、「チームを引っ張りたい」と力を込める日数谷が、駅伝の舞台で輝く瞬間がすぐそこまで来ている。

5月の全日本大学駅伝関東地区選考会は最終組で出走した日数谷

◎ひかずたに・はやと/2005年4月16日生まれ、兵庫県出身。播磨中→神港学園高→中央学大。自己記録5000m13分52秒54、10000m28分36秒82、ハーフマラソン1時間3分28秒。

文/小野哲史

[caption id="attachment_131366" align="alignnone" width="800"] 中央学大の日数谷隼人[/caption] 学生長距離Close-upインタビュー 日数谷隼人 Hikazutani Hayato 中央学大3年「月陸Online」限定で大学長距離選手のインタビューをお届けする「学生長距離Close-upインタビュー」。61回目は、中央学大の日数谷隼人(3年)をピックアップする。5月の全日本大学駅伝関東地区選考会では最終4組に登場し,チームの本戦出場に貢献。7月の関東学生網走夏季記録挑戦競技会では10000mの最終5組で積極的なレースを展開し、自己ベストに迫る28分38秒84をマークした。チーム内での存在感を高めており、初となる学生三大駅伝出場を目指している。好調を維持する日数谷にこれまでの道のりや今後の目標について聞いた。

チーム内でトラック最速タイム

中央学大の現役選手で、5000mが13分52秒54、10000mが28分36秒82と、2種目でチーム最速タイムを持つのが昨年度まで学生駅伝に出場経験のない日数谷隼人(3年)だ。7月12日の関東学生網走夏季記録挑戦競技会10000mでも最終組でセカンドベストの28分38秒84をマークして存在感を示した。網走での走りを振り返る日数谷の表情には、手応えと課題の両方が入り混じる。「前半はすごく良かったのですが、ラスト2kmでペースが落ちてしまった。あそこは誰でもがんばれるところです。そこで1位の選手と差がついてしまったのは、自分の弱さです」。自己ベストに迫る好タイムにも、浮かれる様子はまったくない。今季の日数谷は、これまで以上に安定感が際立っている。5月の全日本大学駅伝関東地区選考会では各校のエース級が集まる最終4組を任され、粘りの走りでチームの2年連続伊勢路行きに大きく貢献した。6月には5000mでも13分台に突入するなど、トラックでのスピードには磨きがかかっている。昨年までとの違いについて、日数谷は「ジョグの質」を真っ先に挙げる。「去年の箱根予選会が終わった頃、川崎勇二監督から『ジョグが遅すぎる』と指摘されたんです。それまではキロ5分をあまり切らずに走っていましたが、監督に言われてからはキロ4分30秒ぐらいで走り、後半にはさらにペースアップするような意識に変えました」と話す。些細なことかもしれない。しかし、毎日行うジョグの質に徹底的にこだわることで、10000mの後半にも対応できる地足が鍛えられた。「監督はあまり褒めてくれませんが、全日本予選の4組を任せてくれたことは、自分を信頼してくれている証拠なのかなと感じて、少しうれしかったです」。静かな語り口の中に、指揮官との絆と主力としての自負が透けて見える。日数谷は小学2年生の時、陸上競技を始めた。幼い頃から「とにかく走ることが好きだった」と話すが、その純粋な思いは今も日数谷の根底にある。強豪校がひしめく兵庫県で、高校は神港学園高に進学。3年時には5000mで激戦の近畿大会を勝ち抜き、インターハイ出場も果たした。高校時代は「心が一番成長できた」と振り返る。「1年生の時、周りが自己ベストを出す中、自分だけが出ない時期がありました。『陸上は向いてないかな』とも思いましたが、あきらめずに努力したら記録が一気に伸びました」。3年間の成長ぶりに胸を張った。その後、一昨年の春に中央学院大に進んだのは、川崎監督自らがスカウトに足を運んでくれた熱意に加え、当時の絶対的エース・吉田礼志(現・Honda)ら、高いレベルの選手層に惹かれたからだ。「ここで強くなりたい、ここで結果を残したい」と感じたという。1年時から全日本大学駅伝関東地区選考会や箱根駅伝予選会に出場するなどチャンスは与えられたが、本戦ではエントリーメンバー止まり。沿道から先輩たちの走りを眺めるしかなかった。

ケガで離脱なく継続した練習

2年生になった昨季はさらに苦しい時期を過ごす。「練習はできていたのですが、試合で結果が出ない。努力不足、実力不足でした」。秋以降は駅伝メンバーに絡めず、トップ通過を果たした箱根予選会も、チームとして3年ぶりに出場した全日本大学駅伝も、仲間を応援することしかできない。11月下旬に10000mで28分36秒82と大幅に自己記録を更新した時は、箱根本戦のメンバー入りに「ワンチャン、あるかな」と希望を持ったが、甘くはなかった。目指していた舞台に自分の姿がない。そんなもどかしさと焦りを抱えていた時期もあった。ただ、悔しさを味わった2年間は、決して無駄ではなかった。吉田や昨年の主将・近田陽路(現・愛知製鋼)のようなエースの取り組みを間近で観察し、軽やかなフォームや競技に対する姿勢を吸収した。そして何より、大学入学以来、一度もケガで離脱していないという事実は特筆に値するだろう。3食を欠かさず、十分な睡眠とケアを徹底する高い意識。その蓄積が3年目を迎えた日数谷の活躍に結びつつある。中央学大は今、「距離の慣れと起伏の克服」をテーマに、夏の鍛錬期を過ごしている。ここを乗り越えれば、いよいよ勝負の駅伝シーズン開幕だ。チームでは箱根予選会は3位以内、全日本と箱根の本戦は8位を目標に掲げる。そのために日数谷は「予選会は個人で50位以内に入り、駅伝では確実に良い順位で帰ってくる」と、自分がやるべき役割を明確にイメージできている。初出走だけでなく、もちろん希望区間もある。「全日本は1区を走りたいです。流れが重要な区間だと思うので、自分が流れを作って、後半の区間に良い流れでタスキを渡したいです。箱根は6区を希望しています。(区間序盤にある)上りはあまり得意ではないのですが、下見に行った時に『もしかしたら走れるかもしれない』と感じました」と明かす。トラックのスピードを生かしつつ、特殊区間の適性もあるとしたら…。前回の箱根で11位に終わり、8年ぶりにシード権獲得を目指す中央学大にとって、極めて強力な武器となるだろう。同期の存在も刺激になっている。米田昂太、長部虎太郎、長友英吾、三代田宏太朗といった実力者が顔をそろえる3年生世代は、今やチームの最大勢力と言っていい。大学入学時点の5000mの持ちタイムでは、同期の中で日数谷が最も速かったが、学生駅伝デビューはすでに5人に先を越された。「3年生は良いライバルでもあり、ちょっと怖いなという感じです。でも、全員に負けたくありません」。互いに切磋琢磨し合う仲間でありながら、負けたくないライバル。そんな競争意識が日数谷をさらなる高みへと押し上げる。「最終学年となる来年度は、箱根の1区を走ってチームに勢いをつけたい。そして、大学卒業後は実業団に進んで、トラックで世界を目指したいです」と、おぼろげながらも未来への青写真を描くのは、自分の走りに自信を持てるようになったからに他ならない。かつて自身の才能を疑い、駅伝メンバーから漏れて悔しさに涙を呑んだ日数谷は、もういない。中央学大の主力としての自覚を背負い、「チームを引っ張りたい」と力を込める日数谷が、駅伝の舞台で輝く瞬間がすぐそこまで来ている。[caption id="attachment_131366" align="alignnone" width="800"] 5月の全日本大学駅伝関東地区選考会は最終組で出走した日数谷[/caption]◎ひかずたに・はやと/2005年4月16日生まれ、兵庫県出身。播磨中→神港学園高→中央学大。自己記録5000m13分52秒54、10000m28分36秒82、ハーフマラソン1時間3分28秒。文/小野哲史

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