2026.06.13
◇第110回日本選手権(6月12~14日/愛知・パロマ瑞穂スタジアム)2日目
名古屋アジア大会代表選考会を兼ねた日本選手権が行われ、男子棒高跳の元日本代表・山本聖途(トヨタ自動車)が5m10で競技を終え、今大会で引退することを表明した。
地元・愛知県の岡崎市出身。多くの歓声を浴びてレジェンドは最初の高さである5m10をクリアした。続く5m30は失敗。温かい拍手が送られた。
「2年前、パリ五輪までで社業に専念する予定でしたが、地元でのアジア大会ということもあって2年間やらせていただきました」
男子棒高跳を引っ張ってきた。1992年生まれの34歳。飯塚翔太(ミズノ)やディーン元気(同)、大迫傑(LI-NING)と同じ“プラチナ世代”の1人。
元短距離選手の父・久義さんと、元跳躍選手の母の間に生まれ、父は五輪への思いを込めてその名をつけた。中2で棒高跳をはじめ、インターハイ入賞など活躍。中京大でその才能は大きく花を開いた。
12年ロンドン五輪に出場すると、翌年のモスクワ世界選手権では5m75を跳んで6位入賞。五輪はリオ、東京にも出場し、世界選手権には22年ロンドンまで合計5大会で代表入りした。記録も16年に当時室内日本新、日本歴代2位の5m77をマークしている。
だが、フランスを拠点にさらなる高みを目指していたが、その志半ばで、ポールが折れるアクシデント。その後は棒高跳選手の多くが悩まされる「踏み切れない」というトラウマと向き合ってきた。「あれがなければ日本記録も更新できる身体にはなったのですが、それも含めて棒高跳という競技」と山本は人生を懸けてきた種目へ思いをはせる。
何度も立ってきた瑞穂の陸上競技場。大きく生まれ変わり「ここで試合ができたことが本当に最高でした」。後輩たちに向けては「世界のレベルも上がって苦しいと思うけど、彼らならやってくれる。世界に挑戦してほしい」とエールを送り、まだ活躍を続ける同期には「すごいですよね。あと5年くらいは見届けたいな」と笑顔を見せる。
「本当にいろんな経験をさせていただいて、普通の人では味わえないもの。幸せな競技人生でした」
日本の“お家芸”を背負って跳んできた偉大なポールボウルターは、すがすがしい表情で愛着たっぷりの瑞穂でポールを置いた。
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