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2026.09.28

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【高平慎士の視点】さらなる可能性感じるブーンソンのアジアタイ19秒88 水久保は国際大会メダルの経験を糧に/名古屋アジア大会
【高平慎士の視点】さらなる可能性感じるブーンソンのアジアタイ19秒88 水久保は国際大会メダルの経験を糧に/名古屋アジア大会

男子200m決勝の様子(26年名古屋アジア大会)

9月27日に愛知県名古屋市のパロマ瑞穂スタジアムで行われた名古屋アジア大会の男子200m決勝は、プリポル・ブーンソン(タイ)がアジアタイ記録、大会新の19秒88(-0.3)で優勝を飾り、スプリント2冠を達成した。水久保漱至(宮崎県スポ協)は20秒56で3位に入り、銅メダルを獲得している。2008年北京五輪男子4×100mリレー銀メダリストの高平慎士さん(富士通一般種目ブロック長)に、レースを振り返ってもらった。

◇ ◇ ◇

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プリポル・ブーンソン選手が200mでも圧巻のスプリントを見せつけました。100mで9秒台を3本そろえ、200mも3本目。しかも、200mは前日に2本を走るという世界大会よりもきついスケジュールの中でのアジアタイ記録ですから、非常に素晴らしいと思います。

タイ勢のこの種目優勝は1970年バンコク、74年テヘラン大会を連覇したアナト・ラタナポール以来、52年ぶり。至近9大会は日本とカタールが優勝を占めてきた種目でもあり、そういった意味でも新風を吹かせたと言えます。

ただ、準決勝が非常に余裕をもって20秒10(大会新)。個人的には、決勝はアジア記録を上回る可能性をより感じていたこともあり、さすがに疲れが見えた部分でしょうか。それでも十分に速いわけですが。

100mでも述べましたが、ブーンソン選手のスプリントの特長は、スピードの乗せ方が非常にうまいことと、乗せてからそれを維持する能力を非常に高いこと。この強みが200mではさらに生かされていた印象です。100mよりもより力感がなく、でもしっかり加速する。1回加速に乗せてからは、それを150mぐらい持続しているというイメージがあります。

普通なら、もう少し「走っている」感じが出るものです。100mではケネス・ベドナレク選手(米国)を似たタイプに挙げましたが、200mでは彼も力感は出ています。24年パリ五輪金メダルのレツィレ・テボゴ選手(ボツワナ)も同様。タイプとしては2004年アテネ五輪、07年大阪世界選手権400m王者のジェレミー・ウォリナー(米国)といったロングスプリンターが浮かびます。

コーナーに関しても、カーブの頂点から直線に抜けていく局面は遠心力に振られないよう耐える場面があるものです。しかし、ブーンソン選手は1歩1歩でちゃんと地面ととらえているのに、力をそんなに使っていないように見えるのです。この効率性の高さが、本数を重ねてもパフォーマンスを維持できる要因でもあると感じます。

タイムは今後にお預けということになりますが、現状のパフォーマンスレベルは計り知れないものがあるのは間違いありません。来年の北京世界選手権、再来年のロサンゼルス五輪で、アジアを代表する選手としてどこまで世界と戦えるか。世界の強豪と競った時に同じパフォーマンスができれば、非常に楽しみです。

ただ、19秒88をもってしても今季世界11位タイで、世界歴代では76位タイ。このタイムをアベレージにすることが、世界のファイナルで戦うために必要な要素となるでしょう。

日本勢に関しては、水久保選手が銅メダルを確保できたことは、彼にとって大きな経験となると思います。初めての国際大会だった昨年の東京世界選手権は予選で敗退。2度目の今回、決して簡単なことではないメダルという結果を手にしたことで、「いざ勝負」という場面で自分の強さを信じられる支えとなるのではないでしょうか。

準決勝(20秒37/+0.4)から決勝(20秒56)でタイムを0.2秒近く落としたことは、大会への準備における課題が見えた部分。水久保選手自身も自覚し、模索しています。走りがしっかりとしてきたからこそ、万全の状態をいかに長く保てるかが、彼の今後のキャリアを左右するものとなるでしょう。日本代表として、大事な場面でパフォーマンスを発揮できる選手になっていってもらいたいです。

林選手は、8月に個人種目の代表入りが急遽決まるという中で、準備の面で非常に難しかったと思います。とはいえ、決勝に残れる水準にはあったと思いますので、そこを逃したということを今後にどう生かせるか。

水久保選手も同様ですが、自己ベストを引き上げつつ、20秒1~2を5本ぐらいそろえる再現性を身につけることが、世界との勝負を見据えるうえで必要なこととなるでしょう。

◎高平慎士(たかひら・しんじ)
富士通陸上競技部一般種目ブロック長。五輪に3大会連続(2004年アテネ、08年北京、12年ロンドン)で出場し、北京大会では4×100mリレーで銀メダルに輝いた(3走)。自己ベストは100m10秒20、200m20秒22(日本歴代7位)

9月27日に愛知県名古屋市のパロマ瑞穂スタジアムで行われた名古屋アジア大会の男子200m決勝は、プリポル・ブーンソン(タイ)がアジアタイ記録、大会新の19秒88(-0.3)で優勝を飾り、スプリント2冠を達成した。水久保漱至(宮崎県スポ協)は20秒56で3位に入り、銅メダルを獲得している。2008年北京五輪男子4×100mリレー銀メダリストの高平慎士さん(富士通一般種目ブロック長)に、レースを振り返ってもらった。◇ ◇ ◇プリポル・ブーンソン選手が200mでも圧巻のスプリントを見せつけました。100mで9秒台を3本そろえ、200mも3本目。しかも、200mは前日に2本を走るという世界大会よりもきついスケジュールの中でのアジアタイ記録ですから、非常に素晴らしいと思います。タイ勢のこの種目優勝は1970年バンコク、74年テヘラン大会を連覇したアナト・ラタナポール以来、52年ぶり。至近9大会は日本とカタールが優勝を占めてきた種目でもあり、そういった意味でも新風を吹かせたと言えます。ただ、準決勝が非常に余裕をもって20秒10(大会新)。個人的には、決勝はアジア記録を上回る可能性をより感じていたこともあり、さすがに疲れが見えた部分でしょうか。それでも十分に速いわけですが。100mでも述べましたが、ブーンソン選手のスプリントの特長は、スピードの乗せ方が非常にうまいことと、乗せてからそれを維持する能力を非常に高いこと。この強みが200mではさらに生かされていた印象です。100mよりもより力感がなく、でもしっかり加速する。1回加速に乗せてからは、それを150mぐらい持続しているというイメージがあります。普通なら、もう少し「走っている」感じが出るものです。100mではケネス・ベドナレク選手(米国)を似たタイプに挙げましたが、200mでは彼も力感は出ています。24年パリ五輪金メダルのレツィレ・テボゴ選手(ボツワナ)も同様。タイプとしては2004年アテネ五輪、07年大阪世界選手権400m王者のジェレミー・ウォリナー(米国)といったロングスプリンターが浮かびます。コーナーに関しても、カーブの頂点から直線に抜けていく局面は遠心力に振られないよう耐える場面があるものです。しかし、ブーンソン選手は1歩1歩でちゃんと地面ととらえているのに、力をそんなに使っていないように見えるのです。この効率性の高さが、本数を重ねてもパフォーマンスを維持できる要因でもあると感じます。タイムは今後にお預けということになりますが、現状のパフォーマンスレベルは計り知れないものがあるのは間違いありません。来年の北京世界選手権、再来年のロサンゼルス五輪で、アジアを代表する選手としてどこまで世界と戦えるか。世界の強豪と競った時に同じパフォーマンスができれば、非常に楽しみです。ただ、19秒88をもってしても今季世界11位タイで、世界歴代では76位タイ。このタイムをアベレージにすることが、世界のファイナルで戦うために必要な要素となるでしょう。日本勢に関しては、水久保選手が銅メダルを確保できたことは、彼にとって大きな経験となると思います。初めての国際大会だった昨年の東京世界選手権は予選で敗退。2度目の今回、決して簡単なことではないメダルという結果を手にしたことで、「いざ勝負」という場面で自分の強さを信じられる支えとなるのではないでしょうか。準決勝(20秒37/+0.4)から決勝(20秒56)でタイムを0.2秒近く落としたことは、大会への準備における課題が見えた部分。水久保選手自身も自覚し、模索しています。走りがしっかりとしてきたからこそ、万全の状態をいかに長く保てるかが、彼の今後のキャリアを左右するものとなるでしょう。日本代表として、大事な場面でパフォーマンスを発揮できる選手になっていってもらいたいです。林選手は、8月に個人種目の代表入りが急遽決まるという中で、準備の面で非常に難しかったと思います。とはいえ、決勝に残れる水準にはあったと思いますので、そこを逃したということを今後にどう生かせるか。水久保選手も同様ですが、自己ベストを引き上げつつ、20秒1~2を5本ぐらいそろえる再現性を身につけることが、世界との勝負を見据えるうえで必要なこととなるでしょう。◎高平慎士(たかひら・しんじ) 富士通陸上競技部一般種目ブロック長。五輪に3大会連続(2004年アテネ、08年北京、12年ロンドン)で出場し、北京大会では4×100mリレーで銀メダルに輝いた(3走)。自己ベストは100m10秒20、200m20秒22(日本歴代7位)

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