◇第110回日本選手権(6月12~14日/愛知・パロマ瑞穂スタジアム)1日目
名古屋アジア大会代表選考会を兼ねた日本選手権が行われ、女子やり投は北口榛花(JAL)が62m86のシーズンベストを投げて2年ぶり5度目の優勝を飾った。名古屋アジア大会派遣設定記録(60m25)もクリアしており、初のアジア大会代表に内定した。
北口に笑顔が戻った。4投目までは59m21(2投目)にとどまっていたが、「そろりと投げて59m。この感じで59mなら、絶対にもっと投げられるという自信がありました」。
助走で「止まらないように」意識したり「ひねりを出したり」して試行錯誤した5投目。「考えないといけないことを減らして、ようやく試合の感じで投げられた」。やや勢いあまってラインを踏みそうになったが踏ん張ると、高いやりが60mラインを超えて歓声が起こった。
昨年6月に右肘を痛めて以降、復帰してから最高となる62m86。久しぶりに身体全体で飛び跳ねて喜びを表現した。
男子世界記録保持者のヤン・ゼレズニー・コーチ(チェコ)はダイヤモンドリーグ・厦門大会で欧州へ戻った。そこからは遠隔でアドバイスをもらいながら技術と向き合った。特にラストステップからブロックに入る「右、左を速く着くこと。ヤンの右・左は誰もが目指すものだとみんなが言っているので、それを授けてくれようとしてくれている」。
この日も動画を送りながらオンラインでコーチから指示が飛んだが、それをサポートしたのがチームメイトで110mハードル日本記録保持者の村竹ラシッドだった。「英語がわかって、しっかり声が通って、的確に伝えてくれました。(コーチ席に)行く度に新鮮でリラックスできました」と笑う。
もちろん、記録的には「喜べないし、64mくらいは目指していたので物足りないです。噛み合えばもっと飛ぶ」と満足はしていない。今回は同一試合で4人が60mオーバーという史上初のハイレベルな試合に。「ケガをしてからも『戻りたい』『また頑張ろう』と思えたのは高い水準を維持してくれたから」と活況を歓迎した。
この愛知・瑞穂は、「ひつまぶししか覚えていない」と笑うが、高1の日本ユース選手権で全国大会初めてのトップ3入りで、当時掛け持ちだった競泳を辞めるきっかけになった場所。さらに、高3の日本ジュニア選手権では今も残る58m90の高校記録を樹立し、16年の日本選手権で初メダル(3位)を取った縁のある場所だ。
これで、同じ会場でのアジア大会代表に内定。71m74を投げた中国の18歳・嚴子怡らの出場も見込まれるが「何度も試合をしていますし、ああいう選手が出たからこそ、私も含めて世界の選手が頑張らないといけないという気持ちになった。ちゃんと戦いたい」。今後は欧州へ渡り、ダイヤモンドリーグを転戦して世界アルティメット選手権(ブダペスト)を経てアジア大会へ。
誰もが待ち望んでいた女王の帰還。完全復活はまだまだ先でも、新たな歴史の一歩として十分な名古屋でつかんだ2年ぶりの日本一だった。
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